ここで特定の政党や政治家について触れることはしないが、日本国民の生活についてどこまで本気で考えているのかと思いたくなるようなやり取りが国会や街中での政治活動の場において繰り広げられている。
選挙が差し迫ってくると、政治の本質や我が国の舵取りなんかより、いかにして民衆受けをして、票につながるのかを考えての政策がどの党も出したい放題であるが、これは野党だけでなく与党の自民党・公明党もしかりである。
なぜ急にこんな話を持ち出したかというと、税の専門家である税理士に中でもまさにプロフェッショナルともいえる大阪のU税理士が私が所属するある団体の機関誌に「税制を政争の具にしないで欲しい」と書かれているのを見て、まさにそのとおりとすごく共感したからである。
U先生とはある勉強会で何度かご一緒させていただいたことがあるが、税に対する知識は私が知っている税理士では一番でないかと思っているし、当然のことながら各種税法が頭の中に入っているのはもちろんのこと、その税法ができるまでの過程やその考え方、つまり根拠のようなものまで理解されており、なぜこの税法が必要か、今なぜ改正すべきなのかという税の本質も含め、我々税理士に対する多くの講演会で語られている。
このU先生が講師を務められる研修会ではご本人は手元にあるレジュメにはほとんど目を向けられることはなく、2時間、あるいは3時間しっかりと前を見て熱く語られる。
税法の研修会であるが、先程も述べたように今 我が国にとってなぜこの税法が必要なのか、どうして急いで改正しないといけないのかということも国と国民、そして諸外国との関係も検証しながら語られるので、3時間の研修も聞き入っているうちに終わってしまうというのがこのU先生の研修会である。
このU先生は与党寄りでもなければ野党よりでもなく、「今の政府 いったい何考えているの分からないし、筋が通っていない」とか「野党はこの税制は本当に日本国民にとって有益と考えているのだろうか」と常に税制のあり方、つまり本質論から語られるので、聞いていても全く嫌な感じがしない。
日本の行く末の舵取りが官僚任せであってはならないし、国民の声を吸い上げ、その声を可能な限り政治に反映するのが政治家の役割と思っているが、今やこの“政治家の使命”に欠ける政治家が多くなってきているように思えてならない。
少し言い過ぎかもしれないが、「選挙って議員さんの就職活動みたい。当選すれば4年間食うに困らいという点では」と過去にこの場で綴ったことがあると記憶している(Noまでは確認していないが)が、選挙が近くなるとこの思いは一層強くなる。参議院の半数の非改選の人って全く焦ってもいないのはよくわかるし。
こういった場では政治と宗教について触れてはならないという暗黙の了解もあるのでこの話はここまでにしておくが、尊敬すべくU税理士が唱えておられることにあまりにも共感したので、今日はこういった内容でまとめさせていただいた。
ちなみにU先生は税理士会や税法学会で多くの役職を歴任され、税理士試験の試験委員もされていた。
ご本人から直接聞いた話ではないし、比較的近い人から聞いた話なので100%真実かどうか確認はしていないが、「U先生って税理士試験を一発で5科目受かった伝説の人なんやで」ということが、「分かるわ、うん。」と疑いを持つ必要もなさそうなくらい頭の中は税の知識満載の税理士である。
だからと言って決して話しにくいような方ではなく、話していても気さくだし、人間性の面から見ても本当にすばらしい方である。 到底 私は まねの“ま”もできないですが。