我が事務所は個人開業医の顧問先が多く、1年の業務の20〜25%くらいがこの1カ月の間に集中するので気が抜けない期間でもある。
まだ 出だしとはいえ 我が事務所のスタッフは ほとんどが10年以上(中には20年以上の者もいるが)の経験者なので、誰からか指示を受けるでもなく、資料が入手できた先から各自が脇目もふらずにどんどんて手を付けていくので 事務所内は空気は既にピィーンと張り詰めた感がある。
事務所内の取り決めでは3月13日には完了しているというスケジュールを立てているので 今から3週間余りの短期集中ということになる。
私の方には出来上がった書類が全件まわってくるので、申告者(個人事業主や法人役員)の顔を浮かべながら、決算書・申告書の内容を見ていくというのが恒例の業務となっている。
所得税の確定申告というのは対象者が大きな会社ではないので、業績はあくまでトップの経営手腕が色濃く出てきているというのもこの確定申告ならではの特徴である。
もちろんすべての人が1年中 息つく暇もなく働いていらっしゃるわけではなし、決してそれが望ましいわけではないが、中には決算数字を見ていて「少しやばいぞ」と思えるような決算書がないわけではない。
これまでの経験を踏まえると、医師・歯科医師に限らず他の個人事業者も含め、5年後、10年後、そしてそれ以降 軌道に乗って安定した経営が続けられるかどうかは、実は誰もが注目しがちな初年度の立ち上げだけではなく、3年目あたりに大きな岐路があるような気がする。
というのも個人の起業であれ、会社の設立であれ 最初の1、2年は全身全霊とはいかなくてもいいが、やはり自分で事業を起こそうと決心した人なのでほとんどの人が毎日 経営に注力して過ごされているが、いろんな経営者を見ていると この“注力”というのを長続きさせることが何よりも大変なことである。
私がこれまで見てきて、1年 あるいは 2年で当初の予想以上にいい数字が上がってきている人が、次の2つのパターンに分かれるような気がする。
@「2年間がんばってきて、比較的順調なので ちょっとひと休みしたいな。これからもたぶん大丈夫だろうし。」と思う人
A「少し数字はましになってきたけど、まだまだ2年くらいでは油断もできないので、もう少し気を緩めずに走らんとあかんな。しっかりとした基盤と自信ができるまで」という人
この後者の方は放っておいても大丈夫であるし、5年もすると所得も予想以上のものになり、同業者、競合者が近くに現れようとびくともしない。
それが前者の2年で一息つかれる人は、経営に対してマイナスに働くような何かの外的要因が出てくるとたちまち足元がガタガタし出してくる。
多くの決算・申告の内容を見ているとこういったことが結構 的中してくることもあり、2、3年目がピークでその後 早くも下り坂となっている経営者には多少なりとも厳しめの話をすることもある。
私が全件まわって説明するわけではないが、事務所の担当者には決算の数字を見て、終わった数字よりも翌年に向けての対応をしっかりと話してくるように伝えている。この場でも何度か言ったことがあるが、決算はまさしく経営者にとっての通信簿である。
いろいろな事情があって、たまたま今回思うような数字が出なくても、「よし、次は○○に対して策を練り、取り返そう・・」と思う人は、1年くらい数字が悪くても間違いなく這い上がってこられるが、一番怖いのは、悪い数字から目を背ける経営者である。
「お金が足りなくなったら銀行へ」なんて言っていては、業績はなかなか好転しないだろうし、借入のある人は何よりも優先して返済を進めていくというのが経営の常道であるように思う。
軽い気持ちで確定申告のことを書き始めたところ、いざ経営数値の話になると思わず熱くなってしまったが、しっかりとフォローし、一人でも多くの経営者と ほっとした顔で面談できるように事務所としても支えていかないといけないし、それが節税と並んで、税理士・税理士事務所の重要な役割であろう。
今日は朝の9時半ごろ京都マラソンが自宅の近くを通過するのに伴い、3時間近く北山通が通行止めになるので、その前に家を出てきて先週末から残っていた業務を片付けているが、もう終わっているので 身支度をしてそろそろ帰ろうと思っている。
もちろん この時期はいつも以上に頭も使うし、明日からは外出も多くなり、事務所に戻ってから内勤という日が続くが、体調を維持することが何よりも大事であることは分かっているので、あと3週間 ペース配分も考えながら過ごしていきたい。
今日はこんな状況下なので軽めにと思って書き出したが、気がつくと長くなってしまっていた。
突然ですが、では 今日はこのへんで終わりにします。