昨日は全国都道府県対抗女子駅伝で地元 京都が優勝したことで 京都府民の中には いくらスポーツのこととはいえ、これまたいい気分で今年のスタートが切れたと思っている人もいるのでは。
さて ここから本題ですが、
私が学校を出てから開業するまで23年間勤務していた税理士事務所(退職時には税理士法人)で長年 トップに君臨されていた(元)所長が施設に入っておられることを昨年12月に親族の方からお聞きした。
特に体のどこかが悪いとかではなく、80代後半の奥様の体調管理との兼ね合いで入所されたと聞いていたし、面会も可能とのことだったので、事前に予約を入れた上で 教えてもらっていたその施設を訪れた。
市街地からは車で10〜15分ほどで比較的便利のいい場所にありながらも 目の前にはゴルフ場もある自然に囲まれたいい雰囲気の施設であった。
前回お目にかかったのは2年半程前に所用で私が以前に勤務していたその事務所を訪れたときだったので、久しぶりに顔を見れるということで数日前から面会を楽しみにしていた。
施設のスタッフの方に部屋(個室)の前まで案内してもらい中に入ったが、6畳くらいの部屋のベットの横で車いすに座って私が来るのを待っていてくれたようである。
部屋に入るなり、「廣井です、ご無沙汰しております。お元気そうで・・。廣井ですが分かりますか?」と声を掛けると、少し間は空いたものの にこっと笑みを浮かべながら「それくらいわかってるで」と返された。
2年くらい前までは自宅からバスを乗り継いで事務所に出てこられているとは聞いていたが、今では確か90歳は超えておられるし、もちろん往年の時のような軽快な会話というわけにはいかないが、最後まできちんと話ができ、私の方も非常にいい時間を過ごせたなと思っている。
話の途中に、「その話はさっきの話の続きみたいだけど、話はひとつづつ区切ってもらわんと僕の頭ではなかなか前後の関係が繋がらんことがたびたびあって・・」とおっしゃったが、それが「そりゃそうですよね」と妙に納得し、その後は更にゆっくりと一つ一つ確認するようにしながら話をした。
話をしては休憩し という形ではあったが、体調もよさそうで 声は小さめであったが聞き取れないようなことは全くなく、お互いゆっくりめの口調で 昔話や今の生活ぶりについていろいろと話を聞くことができた。
長居してはいけないので15分ほどで失礼しようと思っていたが、部屋を出る時に時計を見ると30分近く話していたことに驚いた。
私の場合、私もカミさんもどちらも両親が既に亡くなっているので、最近では身近なところでは90歳以上の人が少なくなってきているが、今日は23年間もいっしょに仕事をして、仕事の進め方や考え方について たくさんのことを教えてもらっり、所員旅行や食事会にあちこち連れて行ってもらったことを懐かしく思いだした。
天安門事件の前の年だったが、所員旅行で中国に行った時に万里の長城の急な斜面を「きついな」と言いながら必死になって上がっておられた姿は今でもよく覚えている。実は私は入社3年目で初めての海外旅行であった。
昨日、帰る間際に少し小さめの声ではあったが、「近いとこやし、また顔を見せてな」と言われたので、失礼にならない程度にまた訪れようかなと思い、施設を後にした。
年齢的には自分の親世代であり、体力的にはもちろん私の方が元気であるし、話の内容も決して大層なことでないが、口にされた一言一言から不思議と目に見えぬパワーをもらうことになり、これって不思議なものだなと思ってしまった。
今日 話をした思い出話だけでなく、今の私や事務所の運営の根幹は長年いっしょに仕事をしたその勤務先で培われたものもたくさんあり、面会を終えて感謝の気持ちが沸き起こってきた。
何と言っても 私が生涯で給与をもらった唯一の勤務先ですから、私の社会人としてのイロハがすべて詰まっていた場といっても過言ではないですよね。