私が開業した16年前に開業された先生方の中で医療法人となったり、分院や福祉事業に事業展開された方など、立ち上げ支援からその後の展開へと事務所が関わる業務は少しずつ変化してきている。
また医療以外の一般企業の税務・経営の相談や相続税の申告依頼も多くなってきているのもここ数年の特徴である。
そういった中で事業を始められてから10年、20年、中には40年以上も会社を引っ張ってこられたが、やはり高齢であることや体力の衰えから、後継者へ事業を譲られるケースもここ数年 徐々に増えつつある。
一定年齢以上の経営者との話はこの事業の承継ということが非常に重要なテーマになり、今まで築き上げてきたことを誰に、そしていかに引き継いでもらうか悩んでおられる経営者も何人かいらっしゃる。
こういった話をある一面から見てしまうと事業の終い方の話と捉えてしまいがちであるが、様々な業種、いろいろな年代の人と関わっていると、この終い方をいっしょになって考えたり、長くトップを走ってきた経営者の生き様を振り返ることが、実はこれから新規事業を始められる方の支援に役に立つことがある。
どういうことかというと、若い経営者が事業が軌道に乗った後 どういった10年後、20年後を描いておられるかは人によって違うが、創業(開業)支援の話をする中で「成功された○○先生のように」とか、「しっかり稼がれた□□社長のように」というタイプ別に今までの経験を踏まえて若い方々に理想像を示すことができる。
これって私自身も若く、周りは創業歴の浅い方ばかりだった頃は先のことは読みにくかったが、長年この仕事をしていると方向性を聞いて、過去に成功した人の事例をその人に合うように部分的に取り入れること、言い換えれば“まね”することで結構いい形ができることもある。
これまであまり経験というものに主眼を置いて事務所経営をしてきたつもりはないが、顧問先や相談に来られる方の年齢層が20代前半から上は80代後半くらいまで、年々その幅が広がってきているのも私が長くこの業界で仕事をしてきたからなのかなと思っている。
自分の知識や経験だけでは仕事の広がりは一定の範囲までであろうが、こうして、周りの方々につられ、そして事務所のみんなに引っ張られながら手の届く範囲を広げているというのが実態であろう。
今日のタイトルにあるように、若い経営者にも過去の成功事例をいかに伝えるかが重要なことになってくるし、ずっと先のことかもしれないが将来どんな60代、70代、そしてそれ以降の人生を送っていきたいか非常に参考になることがある。すべて実話ですから。
ただ、時代の変化が速すぎて過去のことが今は通用しないということも数多くあるということは、常に肝に銘じて 過去にはなかった新たな手法を見出していくことも成功するかどうか重要なポイントとなってくるであろう。
こうして考えると本当に事業のかじ取りは非常に難しい時代になってきたし、経営のかじ取りを誤れば3年後には姿を消している企業だってある。
何とか繫栄する企業やクリニックを1件でもたくさん作りたい、そして関わり続けたいというのが、私自身 開業時から今もずっと思い続けているが、これってこちらも結構プレッシャーがかかります。ただ これを楽しみにするぐらいでないといけないのかもしれませんよね。
まだまだ学ぶことはいっぱいありますね。いや本音でいうとたくさんありすぎ・・・。
そう思いません。どんどん新しいことが出てきますから。