京都市民として黒字になってよかったという喜びよりも、「21年間も赤字が続いていたんだ」ということに驚いたと同時に なぜか多少の苛立ちも感じてしまった。
今回 ここで綴るにあたって京都市の財政の内容を細かく検証したわけでもないので、素人考えの域を出ないのはこの先を読んでいく上で承知しておいていただきたいのだが、よくぞここまで放っておいたもんだという気持ちと それにもっと早く手を打つことができなかったのかと疑問も湧き出てきた。
それぞれの自治体で生活する住民にとっては、赤字であっても「自分たち」、究極は「自分」の生活に手厚い方がいいし、赤字が原因で生活ができなかったり追い出されるわけでもないので、毎日の生活が快適なのがいいのに決まっている。
こんな中で、地下鉄の敬老乗車証の自己負担額の改定の問題は京都市の財政状態がお年寄りの日々の生活に影響するという点では、老人を抱える世帯では他人事ではなく、まさに生活に密着していると思ったので、この制度について少しだけ調べてみた。
私の家族にはこの制度を利用している者はいないので、これまで詳しい内容は知らなかったし、正直あまり関心も寄せていなかったが、10年ほど前にある仕事先で所得に応じてかなりの負担があるということを聞いて「全員が無料ではなかったんだ」ということを初めて知った。
この制度の変遷ついて調べてみると、今まで知らないことがたくさん分かってきたので、この制度について少しだけ触れておくことにする。
この制度は1973年(昭和48年)に創設され、2005年(平成17年)までは全員無料だったが、その後は所得に応じ自己負担が生じるようになったようだが、直近の負担額を調べるとその内容に大変驚いた。
ご家族にお年寄りがいらっしゃる方はご存知だと思うが、皆様が具体的な内容を見てどうお感じになるのかということで、京都市の基準を掲げてみた。
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【〜令和5年9月末】・・金額は1年間利用(実質 乗り放題)するための自己負担額
・生活保護を受けている方等:負担金はなし
・市民税非課税の方:6,000円
・市民税課税・・合計所得金額が200万円未満の方:10,000円円
(省略)
・市民税課税・・合計所得金額が400万円以上700万円未満の方:30,000円
・合計取得金額が700万円以上の方は、利用できない
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ということで、まずは利用できない人もあることに驚いた。
京都で生まれ育った人で、若い頃から現在までしっかり働き、そしてこの間(現在も)しっかりと税金を払っている人はこの制度を利用できないなんて・・。
もちろん「所得が高い人は相応の負担を」ということであろうが、なんかこの表を見ると寂しい気もする。
でも この制度自体が赤字の一因でもあるということであれば致し方ないのと割り切るしかないのだろうか。
調べついでに京都市の今年度 黒字となった主な要因を調べてみると、
@ 職員数の削減や働き方改革により人件費の削減
A 観光客の増加に伴う宿泊税の増加
B 地価上昇で固定資産税が増加
C ふるさと納税の増加
ということであるが、@以外は一つ逆風が吹けばたちまち赤字の方向へと進んでいくのではというような感じの黒字要因である。
公共団体の財政を企業と比較するのはナンセンスという考え方もあるので大きな声では言えないが、企業ならとっくに倒産していた状態である。
確かに住民サービスを落としてまで黒字化するということは公共性という点では問題はあるが、「あっ、今年は赤字」とか、「久しぶりに黒字脱却」なんて一喜一憂しないで、もう少し長期的な政策やビジョンを持って市を運営していって欲しいと思わざるを得ない。
やはり住みやすい京都にし、人口も流失しない街にするにはどうあるべきかということを考えることが、街の活性化と存続には不可欠であると思うので。
今回は赤字の中身を少しだけ勉強してみるかという軽い気持ちでこの話に入っていったが、今まであまり詳しく知らなかった敬老乗車証のことも知ることができたし、赤字の要因は高齢化の波も大きく影響していることも調べていくと数字ではっきりと分かった。
最後に社会は想像以上に大きく変化してきているということで こんなことを掲げて終わりとします。
◆敬老乗車証制度の創設当時と比べて京都市の平均寿命が11歳伸び、対象者も8万人から32万人になっっている。
本当に大変な時代になってきていますね。