実は1ヵ月ちょっと前に車が大破するような事故に遭った。
ここで取り上げるのもどうかと思ったが、相手が車でも人間でもなく、動物だったので参考になるかどうかは分からないが当時の様子を簡単に綴ることにする。
相手の動物は鹿で、片側1車線の高速道路を走行中、私の車の上から突然 飛んできた。
京都府北部の顧問先で仕事を終えての帰り道で、時間は夜の7時半頃であったが、周りは山に囲まれ 真っ暗で、しかも小雨が降っていた。
衝突の瞬間は「上から何かが落ちてきた」という感じで、後から事故処理に駆けつけられた道路公社の人から話を聞くと、鹿が左側のガードレールを勢いよく飛び越えて車の前のボンネットに上から落ちてきて、その後、フロントガラスに当たって右側に落ちたようである。
実は鹿が車に当たった瞬間に6つのエアバックが1秒もしないうち、つまり瞬時に開いたので、私の目の前はそのシートで真っ白となり何も見えなかった。実はその衝突した鹿さえも一度も見ていない。事故処理後、写真で見せてもらいましたが・・。
私は山からの落石かな、「ヤバい」と思ったが、その数秒後(ほとんど覚えていないが)、何とかエアバックで前も見えない中、無意識のうち車を左の路肩に避けて、1車線の本線が徐行できるスペースを空けていた。
ただ、避けた瞬間エンジンは止まり、その後は二度とかからなかったし、エンジンも折れていたその車はその後 全損扱いで廃車となった。
そしてしばらく何が起こったか分からないまま放心状態でいると、「大丈夫ですか、すごい鹿でしたね。後ろを走っていたうちの車がはねてしまいました。」とドアを開けて若い男性の方が話しかけてこられた。
「えっ、鹿だったんですか? あの落ちてきた物体は」と思わず叫ぶような声を出していたが、この時やっと何が起こったのか少しずつ分かるようになっていった。
幸い私の体はどこかにぶつかるでもなく、車内で四方から出てきたエアバックに体が触れることもなく、不思議なくらい何のけがもなかった。
こうして元気なのでいえる話であるが、エアバックが開いた後は花火の時の火薬のようなにおいが車内に充満していた。
実はエアバックに気づくまでは車の前のガラスの外側に塊の入った白い袋が落ちてきたと思っていたし、これが車外にあるのか車内にあるのかさえも しばらく判別もできない精神状態であった。
私が連絡した警察とこの道路を管理している公社の方が30分ほどで到着し、聞き取りがあったが、その後 レッカー車の到着までの約1時間半は寒い山中で待つしかなかった。
そしてレッカー車到着後、無残にも破壊された私の車はレッカー車に積まれ、私は助手席に乗せてもらい京都まで戻った。
翌日 車をトヨタの販売店(修理工場)まで運んでくれるとのことだったので、車内に残っていた3つもある かばんや袋を抱え、タクシーに乗り込み12時半ごろ何とか自宅に帰ってきた。
体こそ、何とも運がいいというか無傷であったが、この日はなんだか興奮してあまり眠れなかった。
翌日からは自動車保険の30日間レンタカー無料サービスを利用して、通常の仕事をこなすことができたことも、翌朝 車の状態を見るとまるで奇跡としか言いようがない事故であった。
今回の一件は果たして運がいいのか悪いのか?
多くに通行量の中で私の車に鹿が飛んできたことは何万分の一か何十万分の一以上の確率で運が悪かったのであろうが、こうして元気でいられるということは、当たっておきながら言うのもなんだが、すごく運が良かったと言えるのかもしれない。
雨の降る日の真っ暗の中で、横からならまだしも、上から降ってきた鹿は誰であっても避けようがなく、今となってはまるで夢のような一件であった。
少しだけ鹿事件の話を というつもりが、ついつい興奮して長くなってしまいましたが、みなさんも気をつけましょう 高速道路での鹿には。
とはいっても避けようがないんですけどね・・・。