時にはまとめるだけでなく、引っぱっていかなければならないときもあるが、ここでいう「まとめる」と「引っぱっていく」というのは意味も違うし、一人の人間がこの両方とも備えるのは至難の業である。
高校野球の部員がキャプテンのこと聞かれた時、 「本当にみんなの気持ちも汲みながらよくまとめてくれたと思います。個性派ぞろいの集団で大変だったと思いますよ。」と話すこともあれば、「〇〇(キャプテンのこと)は本当に、グイグイと力ずくででもみんなを引っぱっていってくれました。アイツの言うことを聞いていれば間違いないですから。」というような話をする者もいる。
これはスポーツの世界だけでなく、会社でも自分が属するいろいろな団体でも同じようなことがいえる。
多少なりとも上下関係がはっきりしている組織やグループの中でリーダーになった場合には、こういったやり方のうち 自分に合う方法を選んでまとめていけばいいのであろう。
話が少し横道にそれるが、夫婦の間でうまくまとめたり、あるいはグイグイ引っぱっていくことができる人もいるかもしれないが、私は結婚して30年以上もの間 一度たりとも引っぱっていった経験もないし、うまくまとめるなんていう神業のようなことをしたこともない。夫婦の関係だけは上下関係がない分 かえって難しいように思う。
今どき、夫婦に上下関係ってあるんですかね? たまに女性の方が強い夫婦は見かけますが。
話を元に戻しますが、
リーダーとよばれる立場の中でも誰もが一目おくリーダーというのは、優れた実力や実績だけでなく、相手の立場に立って物事を考えられる人のように思う。
相手の立場に立つということはなかなか難しいことのように思えるが、私はまず人の言うことに耳を傾けるというのが大事なことのように思う。
「みんなの意見を聞いたうえで」なんて言っている政治家や経営者ほど、自分が一番正しいと思っていて、こういった人たちに限って自分の考えていることが通らないなんてありえないと思っているであろう。
ここでこんな偉そうなことを書いてはいるものの私自身も既にこの部類に入っている “扱いにくい人間”になっているのかもしれない。気づかないのは自分だけだったりして・・。
ある雑誌で企業の経営者が、「経営者の多くはしゃべり過ぎで、なかなか聞き上手になれない。信頼される経営者は必ず聞き上手という面を持ち合わせている。特に相手の得意なことをうまく聞き出せば、話している本人もさらに上に向かっていくだろうし、そうして前向きな話を聞くことは、経営者にとっても結果的に自分の利益になることも多いはず。」と語っていたのが印象に残っている。
いろいろな局面において、ついつい一方的にしゃべってしまっているし、まさに相手が聞き上手の人なら なおさら一方的にしゃべりまくっていることもある。
雑誌の中のたったの数行であったが、いろいろと考えさせられた対談の一コマであった。
こちら側はうなずきながら、相手からじっくり話を聞き出すなんていう芸当がができたらすばらしい経営者や顧問先のよきパートナーになるのだろうが、まだまだ私にはそこまでたどり着けそうにない。そろそろ じっくりと人の声に耳を傾けてもいい歳であろうし、そういう人に憧れるようになってきた。
人の話を聞くのって本当に難しいし、人間の器の大小を表す物差しなんでしょうね。
今日の話、偉そうなことを綴っているけど、結論としては自分はまだまだ器が小さすぎるっていうこと。
生きるってなかなか思った所には行きつけませんね。