今回のというか、今なお継続中のコロナ騒ぎに端を発し、今や世界中が大混乱に陥っているが、ここへきて当たり前のことが、当たり前でなくなってきている。
日本の場合、春になれば新学期で学校が始まり、また、ほとんどの会社が新入社員向けに入社式をする。 我々の仕事でも所得税確定申告の期限は3月15日(今年は暦の関係で16日)と決まっていたのに今回は4月16日に申告期限が延長となった。
スポーツの世界でも春になれば、必ずプロ野球やサッカーJリーグが開幕し、甲子園での高校野球も春と夏の2回開催されることを誰しも疑ったこともないし、まるで暦を確認するかのように決まった時期に必ず各スポーツやイベントが開催されていた。
また先日、延期が決定したオリンピックも 夏季大会は2月が29日まである うるう年にあると決まっていたがこれも覆され、何と来年開催となれば前回大会から数えると5年目になってしまう。
当たり前が当たり前でないことの怖さにまだ気づいていないこともあるのだろうが、今年の春は当たり前でないことだらけである。
昨年の今頃は誰しもが初めて経験するゴールデンウェーク10連休というウキウキするような大きなプレゼントを与えられ、休み中の過ごし方を考える中でさすがにこの間 途中で1、2日は仕事をしないと仕事がさばけないかななど 浮わついた気持ちながらも少しだけ気も引き締め、4月末からの連休の予定を立てていた。
それが今年はどうだ? 暦の上では当然のことながら他の季節にはない大型連休であるが、「さあ、どうしよう?」、「どこへ行こう?」なんて考える気にもならない。もし、運よく その頃に多少なりともこのコロナのことが下火になっていれば(多分無理だろうが)、美味しいものでも食べに行こうかなというくらいは希望を持ってはいるが、これとて実現できる状況になっているのかどうか予測さえつかない。
旅行の計画だけではなく、日常的に若い人たちがよくやっている(私はやったことがないが)おいしそうな料理を食べる前にスマホで写真を撮ったり、多く人がどんな返礼品を手に入れるのかと楽しみながらふるさと納税に精を出したり、あるいは数多くあるラーメン屋、たこ焼き屋それにケーキ屋さんは同じ食べ物を食べ比べしないと分からないのでとりあえず何店舗かまわってみるというような行動をとる人も私に周りには何人かいた。それが今年は行動そのものが自ずと制限され、また、旅行どころか花見もままならない そんな気持ちにもなってきている。
顧問先である開業医の先生方も春の学会はほとんどなくなり、我々の業界も研修会というのは少なくとも4月末までは開催されなくなったし、5月以降の予定もあやしい状態である。
税や経営、それに投資の世界で話題になった 個人投資家のための税制優遇制度であるNISAやこれから起こり得る事業のバトンタッチの時に利用すべく事業承継税制なるものも、決して利用(使用)しないわけではないが、ここまで世の中の情勢が不安定になってくると、どの時点でどの税制を使うのが有利なのかの判断にも迷いが生じてくる。
私は今まで多くの経営者の方々に、「研鑽を積むことを怠らず、良い意味での意地とプライドを持って経営に携わっていきましょう」なんて偉そうなことを言ったこともあったが、今回は個人の努力や能力では乗り越えられないし、そこには問題の深さそして大きさがある。
これからますます深刻化する経営状況の中で、我が事務所の顧問先の方は一人たりとも脱落者を出さずに乗り切れるようフォローしていくのが私に あるいは我が事務所に課せられた大きな宿題である。
こういう時期になると必ず、「税理士さんは安定してますな」と言われる方もいらっしゃるが、顧問契約とはそんなに甘いものではないし、こんな時こそ頼りになる税理士とそうでない税理士の差が歴然とする時でもあるので、いつもの何倍も気が引き締まる。
先が読めない生活は幾度か経験したが、良かろうと悪かろうと ここまで予定の立てられないことは今まであまりなかった。
当事務所の顧問先の方でも お子さんの受験が終わったので、開業以来初めて数日間クリニックを休診して家族で旅行に行く計画を立てられていた先生やお嬢様の海外での結婚式を楽しみにされていた方がいらっしゃったが、これらもみんな取り止めになってしまっている。
明日のことが分からない、まさにそんな日本、そして世界になってきている3月末である。
コロナ騒ぎの中、個人的には少しだけ不謹慎覚悟で注目していることがある。
それは、この学校休校要請の中、島根県だけは独自の判断で学校を一日も休みにしなかったし、現時点で一人の感染者も出していない。
実は私の事務所で私の前の席で仕事をしている事務所スタッフのお兄さんが島根県で公務員をされているらしいので、こんなことにもついつい関心を持ってしまう。
さあどうなる島根県と。
これ以上、話を続けると世間から悪乗りし過ぎと言われかねないので、明るく賑やかな世の中が一日も早く戻ってくることを祈って、 今日はここでパッと話をやめることにします。
では、おやすみなさい。