2019年07月21日

No638:大事なのは“出足好調”のあと

 2011年3月11日の東日本大震災でレールが寸断され長い間 不通になっていたJR東日本山田線(宮古・釜石間)がこの春に三陸鉄道に移管され、リアス線として3月23日に再開した。再開後は好調を維持し客足も伸びているとのことで、先日 「再開後3カ月、出足好調 三陸鉄道」という見出しで新聞にもとり上げられていた。
 また、福島県浪江町では福島第一原発事故に伴う避難指示が2017年の春に一部で解除されてから、念願であった初めてのスーパー(イオン)が開店し、帰還した住民や周辺に住む人たちでにぎわっていたという記事も先日目にとまった。
 こういった話を聞くと復興も徐々にではあるが進んできているんだなとうれしい気持ちにもなってくる。
 ただマスコミはこういった表の面というか、プラス面ばかり強調するが、ここまで通常の社会生活や経済活動からも閉ざされ続けていた苦労やこれからの運営というのがどれほど大変なのかにはあまり触れていない。
 確かにこの2つは復興の証として明るい話題には違いないが、じっくりこの内容を考えたり、もう少し中身を掘り下げた記事やコメントに目を向けると決して明るい未来が待っているというものではないことが分かってくる。
 
 まず三陸鉄道の方は、復興のシンボルとして、またラグビーワールドカップの会場である釜石市が沿線にあるということでも当面は盛り上がるだろうが、もともと人口減少地域であるし、冬の寒い時期は観光客を含む利用客数がどう変化していくのか予断を許さない状況であることにかわりはない。
 また、もう一方の浪江町には震災前には2万1400人の人が住んでいたが、現在 避難先から戻って居住登録しているのは1057人で震災前の5%にとどまる。果たしてこんな状態でイオンの経営は成り立つのだろうか心配になってくる。もちろん来店客の対象は浪江町に住む人だけでなく周辺住民も含めてという目算であろうが 今後 イオン側としても維持できるのかと考えてしまう。ただ、浪江町からのイオンへの家賃支援もあるし、それ以外にも震災の復興支援がらみで県、国をあげていろいろな援助があると思われる。
 これらを見聞きして私が思ったのは、最初はマスコミの露出度も多く、地域住民も”初物(はつもの)”の珍しさもあり利用者やお客様は一定の水準を維持できるであろうが、こういった“出足”から数年経ってしまうと果たして“出足”当初のような数字は維持しづらくなってくるのではなかろうかと危惧してしまう。
 公共であれ、民間であれ いろんな施設がマスコミでとり上げられ、先日も「オープンした山もふもとのキャンプ場は土日はほとんど予約がとれない状況となっている」と言っていたが、開業から数年もすると閑古鳥が鳴いていたりする施設を過去いくつもみてきた。私自実家の近くに20年程前にできた「道の駅」も、日本三景の天橋立まで15分という立地もあり、観光バスの立ち寄りやおみやげものを買う人で賑わっていたが、別ルートとなる丹後縦貫道が開通するとほとんど観光客は立ち寄らなくなり、そのあと数年で休館となった。確か今は地元住民の農産物直営所となっているようだし、平日は営業車(私も含む)の駐車場所となっている。

 私も顧問先を指導する立場として、新規事業の支援をするときはまず立ち上げ時に全力を注いでもらって最高のスタートダッシュがきれるよう後押ししているが、実は事業(商売)をする上では、この“出足”だけでなく、“第二の出足”というか、本来の“出足”とがいったん落ち着いた頃の次なる段階の方が大事と思えることもある。
 開業(開店)時が“出足好調”であってもそこで油断したがために、2年後には伸びの止まるお店やクリニックはいくらでもある。
 そういう意味においても、長く事業を続けていくためには開業時、3年目、5年目、10年目と節目ごとに常に緊張感を持って対処していった者だけが残って行ったり、いい数字を維持していったりするのであろう。
 そういう意味では気の休まる暇がない ということこそ商売の醍醐味であろうし、そう思わないと事業なんてやっていけない、これが開業12年になろうとしている私の出した結論出る。
 事業なんて最高の時を思い描くにではなく、最低の時を考えながら進めていってちょうどくらいであり、例えば、悪いうわさが経ったり、ライバル店が近くにできて収入が3割減ったとか、何かのトラブルでスタッフの3割が退職したとか、そんなことも想定しながら自分の事業に目を光らせる これこそまさしく事業というものであろう。
 いい時や上り調子の時なんてほんのわずかの期間、そう思っていてちょうどである。これこそ事業をする人の基本であるように思う。

 そろそろ終わりにしますが、予定していたより重いなってしまったことをお許しください。
posted by ヒロイ at 21:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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