2023年11月26日

No.857:いいですね”懐古”っていう響き

 今日の昼、私が開業する前に勤めていた税理士事務所の創業者であり、長く代表をされていた元所長を囲んでの食事会があった。
 食事会といっても参加者は7人で、1ヵ月ほど前に過去に勤務していた時代の私の元上司から、観光のシーズンなのでホテルのレストラン(中華)の個室が最大8人の部屋しか予約ができなかったが是非とも来るようにとお誘いの連絡があった。

 私が大学を出て新卒で就職し、退職・独立開業までの23年間勤務していた税理士事務所で、私は自分で独立した以外には転職経験はないので、履歴書の職歴欄に書ける唯一の職場である。
 元所長は現在90歳で、バリバリだった現役時代を知る者にとっては今日の足取りを見ていると随分 年をとられたなと感じないわけではないが、自宅から一人でタクシーに乗ってホテルの地下にあるお店まで来ることができるくらいなので、まだまだしっかりされていて、今日その姿を見ることができ安心したというのが本音である。

 今日の会は私が入社した1985年(昭和60年)前後に在籍されれいた方ばかりで、出席者は70代以上がほとんどで私が最年少であった。
 今年38年ぶり2度目の日本一に輝いた阪神タイガースが初めて日本一になったのがちょうどこの年(1985年/昭和60年)で、今日のようなメンバーで顔を合わすと否応なしにも、社会人なりたての当時、「阪神バンザイ、タイガースバンザイ」と叫んでいた頃のことを思い浮かべてしまった。
 今から思えばクラブと遊びしかしていないような大学生活からいきなり社会人になり、本当に右も左も分からない者をよく採用してくれたなと思うし、今日同席されている方はそんな何もわからない私に手取り足取り教えてくれた先輩方ばかりであった。
 当時の自分を振り返るとよくも39年も同じ仕事が続けられているなと思うと同時に社会人になった後も結構めちゃしていたなと今日のメンバーを見て 若かった頃のことをあらためて思い出した。
 食事中も当然のことながら当時の思い出話に花が咲き、ある日残業した後、9時くらいから飲みに行き、遅くなったということで男性5人は家に帰らず、事務所の床に寝て朝まで過ごした時のことも話題に上がった。
 今ではセキュリティーの関係でこんな行動はとれないであろうが、翌日最初に出勤した女子社員が仕事場の床に何人もの男が寝ているのを見て、「キャー」と叫んで泣きそうになっていた。そりゃそうでしょう、机の間から何本もの足が出ていたのですから・・。

 今日の会は元の職場の先輩が音頭をとって開催され、私はたとえ7番目に呼ばれたとはいえ、声を掛けていただいたことを光栄に感じながら会場を後にした。
 この事務所にいた23年の間に結婚もし、3人の子供もでき、家も購入し、社会人としての多くを過ごした期間であった。
 とにもかくにも忙しい事務所であったが、社会人としての基礎が固められた職場であったことは間違いなし、同年代も多かったので、仕事帰りによく飲みに行ったが、常に競争意識を持ちながらも 切磋琢磨していたし、今から思えば人生の中でも貴重な時期でもあったように思う。

 今日はお昼の会であったので2時過ぎにはお開きになり、同じ方向に家がある今日のメインゲストである元所長といっしょにタクシーに乗って帰ったが、毎日目の前の仕事に追われている中で、以前にいっしょに仕事をしていた人たちと過去のことを思い出話をするのもなかなかいいものであった。

 普段ほとんど使わない言葉であるがこういうのをまさに“懐古”というであろう。
 国語の授業以外でこんな言葉を使うことってまずないし、もしかして、自ら使うのって初めてかも?
 いいですね”懐古”っていう響き。でもそう思うのは年をとった証拠かも。
posted by ヒロイ at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月19日

No.856:初めて見る光景

 何が起こったのかと思うようなタイトルで申し訳ありません。
 今から綴ることは日常でのちょっとした出来事で別にニュース性がある話でもないが、目の当たりにした人手不足の現実はあまりにもショッキングな光景だったのでNo.851の人手不足のことに続き、今回も人手不足の現場での30分間の出来事を実況風に綴ってみることにする。

 先日、滋賀県にある顧問先2件を事務所の男性スタッフと訪問しているときのことで、1件目が終わったのが13時過ぎだったので、次の顧問先まで車で移動中にどこかで昼食を と店を探していたところ 何度か行ったことのあるラーメン屋の看板が目に入ったので車を停めて店の中に入った。
 実はこの時点で次の訪問先へ向けて出発するまでの残された時間は30分であったが、少し急いで食べれば何とかなると思って、やっと確認に来てくれた店員にそれぞれ食べるメニュー注文した。
 ここまでは「少し遅いな」とは思ったものの特に違和感は感じなかったし、昼も少し過ぎており30〜35人程は入れる店内は我々を含め7、8人だったのでいつものようにスマホを眺めながらラーメンが出てくるのを待っていた。
 その注文を聞きに来た店員は常に小走りで店内を駆け回っていたが、私より先に入った客の焼きめしとラーメンを作る準備に厨房に入っていったかと思うと、私の次に入った客のテーブルまで水の入ったコップを持ちながら注文を聞きに行っていた。
 その後 また厨房に入ってカンカンと音をさせながら焼き飯の入った大きなフライパンを振りかざし、そして次はざるに入ったラーメンを温め、具をのせ 出来上がった2人分を隣の客の席へ運んでいた。

 すると一呼吸置く暇もなく、次は食べ終わった客が帰るということでレジまで駆けつけお勘定をしていた。
 こんな流れの中、さらに店に入ってくる客もあったが、やっと我々の注文したラーメンが出てきて 普段なら注文してから10分くらいで出てくるところ、この日はこの間約20分かかっていた。
 多少焦りながら時計を見て、「10分あるしな、大丈夫」と事務所のもう一人の者に告げながら、二人とも無言のまま熱いラーメンを味わうこともなく必死で流し込んだ。
 
 実況はここまでですが、何が言いたいかわかりますか?
 そう、この間は30代の女性店員1人ですべてを切り盛りしていたということ。店内を見渡したが他には店員はいなかった。
 小さな喫茶店ならともかく、30人以上が入れる店で店員1人なんて今まで行った店ではもちろん初めての経験だし、それは驚きを通り越してあり得ない光景のようにも思えた。
 決して店の悪評を言いたいわけではないので誤解のないようにしてもらいたいが、実はこの店の味は結構気に入っていたので何度か立ち寄っていたし、今までは3、4人の店員がいたはずだった。
 バイトの人が急に来れなくなったのか、どんな事情はあったのかはわからないが、この日の店内は本当にすごかった。
 実はこのラーメン屋は移転した野洲の来〇亭本店の後に昨年の夏にオープンしたチェーン展開しているラー麺ず〇ど〇屋 野洲店で、京都市内にも何店舗かある結構人気店なんです。
 今回はこれ以上私のコメントは入れずに私の店内実況で終わりにする。

 お勘定を済ませ 店を出る時、「すげーなー1人で  倒れんときや」と声かけた時のその店員がとびっきりの笑顔で見送ってくれたのが印象的であったが、その後彼女は脇目もふらずにすぐさま走ってまた厨房の中へ入っていった。
posted by ヒロイ at 17:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月12日

No.855:タクシー運転手から教わった人生

 比較的軽めの本であったが、先日読み終わった「タクシードライバーぐるぐる日記」という本は人間の心理の隅っこの方を突いたなかなかおもしろい本であった。
 大学を出た後 家業を継いでいたが、とある事情で商売をやめなくてはならなくなった人の実話で、タクシーの中での会話やお客様の態度についていろいろな話が綴られており、ユーモラスな中にも考えさせられることがいくつも掲げられていた。

 車に乗るなり、「あのハゲが、触りやがって」と話していた銀座のホステス3人組、携帯電話を片手に超高級マンションから出てきて慣れた雰囲気で後部座席に座った一人の小学生、「私が客なの、わかってる」と言わんばかりのでかい態度のテレビでは人気の庶民派を名乗る女性コメンテーターなど、本人は誰からも見られていない空間と思って本音の部分が出るのであろうが、こういった経験はタクシードライバーのみができるものであろう。
 また中にはワンメーターの距離で乗せるのも大事なお客様の一人と思っているのに お客様に大層申し訳なさそうに言われたことなど 読んでいて心温まる話もいくつも載っている。
 この本を読んで思ったのは、タクシーに乗った時は個室なので多少気は緩めても構わないが、人が見ている時だけいい顔するような人間になってはいけないということであるし、車内でのひどい態度はタクシードラバーしか見ていないとはいうものの、そんな態度をとる人間はきっとどこかで化けの皮が剥がれるだろうし、とびっきりいい人になる必要はないが表裏のない人間になりたいなと思ってこの本を読み終えた。

 私は5、6年程前 ある用事で実家の近くを通った時、一人暮らしをしている母の顔を見に行き、父の仏様に線香をあげる予定であったが、時間がなくそのまま京都まで帰ってきたことがあったが、実はその数日後にうちのカミさんが複雑骨折をし、手術に引き続き入院となったことがあった。
 あの件以来、私の気持ちの中にはいつも「神様は見ている」という心理が働き、やるべきことはきちんとしないといけないということと、嘘はついてはならないという目に見えない圧が常に私を覆っているような気がしてならない。
 こんなこと当たり前のことかもしれないし、私が人生の中でたった一つの嘘もついたことがない、そしてこれからも一切嘘はつきません なんて言いきれるわけではないが、嘘をついたり間違った行動はしない人生を送らねばと思ったのも多少なりともこの本の影響によるものかもしれない。


 最後に今回のこの”読書感想文”を書いていて思ったのは、タクシードライバーは運転してお客様を目的地まで運んでくれる人 と思っていたが、私が乗車している時、客である私にどんな思いで接し、何を考えながら運転されているのか、この本を読んだがために逆にドライバーの心理を 想像しながら乗ってしまうことになるのかな と今までとはちょっと違った気持でのタクシー利用になりそうな気がする。
 でも、こうして些細なことからでも人の心理を探ることって難しいことではあるがとても大事なことなんだろうなと思わせてくれた”当たり”の本であった。

 今日は朝から昼過ぎまでカミさんのワンちゃん仲間数名と山奥のドッグラン広場に行き、半日ではあったが日常を忘れることができ、なかなかいい時間を過ごすことができた。
 こういう時間って大切ですよね、なかなかとれないけど。
posted by ヒロイ at 16:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月05日

No.854:季節を感じながら仕事をする方なんですが

 季節外れ暖かさなので、実は衣替えがなかなか進まない。
 本来ならそろそろ冬物、そしてコートという季節であるが、普通の秋の服装で外を歩いていると汗ばむほどで、寒いのより過ごしやすいが季節感がなくなってきていて、なんだか区切りがなく締まりがないような気がしないでもない。
 秋は秋、冬は冬の過ごし方があり、一年間になすべきことが季節の変化に伴って片付いていくところがある。
 我々の仕事もこれからやってくる年末調整、そしてその後の確定申告は一年のうちで最大の山場であるが、こういった仕事にも季節感があるので季節の変化って意外と大事なのかもしれない。

 そういった中で、先月(10月)は顧問先のうち個人事業者(開業医を含む)の今年の最終損益額と来年の所得税、住民税、消費税の納税予定額を推計し、その予測値を各顧問先に提示する月間になっていた。
 その数字が事務所の担当者から全件 私の方へまわってくるので、それぞれの経営者の顔を浮かべながらその提案書に目を通したが、私は毎年この時期の予測をまずは1回目の通信簿のような感覚でチェックしている。
 あの経営者は常に先のことを考えておられたが今回はその思いが実ったなとか、あの事業所は従業員が定着しないと聞いているがそういったことが数字にも表れ伸び悩んでいるなとか、経営数値はある意味正直であり、努力の結果がそのまま反映される。
 仕事に関係のない個人的なことでは、「運が悪い」の一言で片付けてもいいことはたくさんあるだろうが、経営者の中で業績が思うように上がってこない時に「運が悪い」という言葉を口にされる方があり、「それはないよな」って思うこともある。
 自分一人の事業、あるいは自分だけの生活ならそういう言い方や思いをされるのは本人の自由だが、従業員のいる事務所の業績が運に左右されるよな経営体質であったり、そんな考え方を持っている経営者であれば、そこで働く従業員や家族はたまったものではない。
 震災やコロナのような全く予期できないことが起こった場合には、自分の努力ではどうしようもないので ある意味「運が悪い」ということになるかもしれないが、コロナの場合には特定の地域や特定の人に限ったことではなく全世界を襲った大惨事で、世界中のすべての人が何らかの被害を受けたので これには自分だけではないという点で運は関係ないともいえるであろう。
 実はコロナが世の中にはびこっていた間は多くの人が何らかの仕打ちを受けたが、最悪の事態の中でも何とか最善策を見い出された経営者や収束しかかってからはコロナ後、つまり先を読んだ対応ができた経営者とそうでない経営者では大きな差が出ていったように思う。
 年が明け、2月になると個人経営者の一年間の成果である令和5年の確定申告書や決算書が出来上がってくるが、私はこれが年間の最終の通信簿という位置づけと捉えており、今回はどんな傾向になるのか忙しい中にも楽しみでもある部分である。。

 今日は11月5日。カレンダーを見て「あと もう2カ月しかない」とついつい考えてしまいがちだが、「まだ2カ月もある」と捉えれば 年内に結構なことが片付けられるというか、達成できるような気もするし、今年がどんな年で終えられるのかもこの2カ月間の過ごし方で随分変わってくるように思う。

 最初にも言ったが、外は季節感がないくらい暖かく感じられるが、本当はこの時期は少し寒くて着込まないといけないくらいの気候の方が私はピリッと締まって好きなんですがね。11月は11月らしく。
posted by ヒロイ at 13:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする