この時期になると毎年のことであるが なかなかほっとする暇もなく一日が羽を付けたように飛んでいく感じがする。
そんな中、昨日は大学のクラブのOB会の役員をしている関係で、役員として卒業生の送別会に出席してきた。
こうしてクラブ全体で行う行事は3年ぶりであり、コロナに気をつけながらも新鮮 かつ 厳粛な形で会が始まった。
今の1〜3回生の現役生たちは、大学生になってから こういったパーティー形式の式典は初めてのようで、100人以上のものが参加するこの会の準備や司会進行も含め何かと大変だったようである。
OB会の会長、監督、それに大学の教授である部長さんのあいさつに始まり、3回生の主将の送辞、そして卒業生である前主将の答辞と結構 身の引き締まるような雰囲気で会は進んでいき、いよいよ過去に監督、OB会長を歴任された現OB会相談役の乾杯へと移った時、「おやっ?」と思えることがあった。
これは気づかなくてもいいようなことなのかもしれないが、相談役の簡単なあいさつの後、小さい目の声で「かんぱい」という発声があったのだが、その後、条件反射のように杯を掲げ 一口だけ口にした後、コップを机の上に置き 拍手したのだが、その拍手が10数名いるOB席からしか起こらなかった。
みんな何も気づかずそのまま式は進んでいったが、隣に座っていた私の同級生だったT君と、「普通 あのタイミングって拍手するよね」、と話していると、「ひょっとしてここ数年こういった会が催されなかったし、高校を出て大学生になって初めての式典だったので、そういったルールって知らんの違う、教えてもらったこともないだろうし。そもそもこういう機会って初めてかもしれんしな。」なんて年寄りのお節介のような会話をして、誰に話すでもなく2人だけの話で終わった。
帰り道でその時の光景をもう一度思う浮かべてみると、やっぱり変だけど、コロナってこういう大人になる段階で知らず知らずのうちにルールや慣習を覚えたり経験したりする機会さえも奪っていったのかもと、その拍手しなかった現役生について何か思うのではなく、やはり何気なく行っていた行事にもそれなりの意味があったんだと考えてしまった。
結婚式や葬式も身内だけで行うようになったりすると、結婚式の一般的な流れであったり、葬式で手を合わせて焼香することさえも経験する機会がどんどん減っていくんだろうなと思った。
別に誰かを批判するわけでもなく、コロナはこういった機会さえも奪うと同時に、今まで当たり前のことが当たり前でなくなる 新たな世の中を創り上げられていくのかもと少し不思議な気持ちになった。
今後 意外と気づかないことでこういったことがあちこち見受けられるであろうが、あまり「おやっ?」とか「なんで?」なんて思わずに、世の中は変わっていってるんだ と落ち着いていられるような大人、そして老人になっていけたらなと思う。
常識が常識でなくなったり、常識でないことが常識になるんだろうな、そして世の中はどんどん変わっていくんだろうな なんて少し冷めた気持ちで世の中の変化を遠目で見られるように自分に言い聞かせながら日々過ごしいくのかな なんて考えたりもした。
歳をとったのかな こんなこと思うこと自体・・・。