実は今回 社長を退任し、会長に就任予定の豊田章男氏が2009年に社長に就任した当時、私はその直後の言動に結構注目したのを覚えている。
トヨタの前身である豊田自動織機の創業者である豊田佐吉が曽祖父であるという まさに直系中の直系ともいうべき豊田章男氏は俗にいう「○代目のボンボン社長」をイメージしていたが、社長就任当時から2008年にリーマンショックで71年ぶりに連結営業赤字に転落し、その後2010年に世界規模でリコール問題等、火中の栗を拾うような形での社長就任であったのを記憶している。
その後はトヨタのトップとしてボンボンどころか「トヨタには豊田章男」というまさしくトヨタの顔になり、2022年3月期決算では、営業利益が過去最高となる2兆9000億円で6年ぶりに最高益を塗り替え、国内企業の営業利益としても過去最高となった。
こんなことを書くと「やっぱり廣井さんって体育会系好きやね」と言われそうかもしれないが、この豊田章男氏は大学時代ホッケーをしており、アジア大会に出場、日本がボイコットしたモスクワオリンピックの候補選手だったということも、体育会出身の私にとっては馴染みやすく思えたことの要因の一つだったのかもしれない。。
私は2007年に事務所を開業して以来 このブログを続けているが、以前このブログで豊田社長のことを書いた記憶があったので 過去に遡って探してみると見つかった。
この後 張り付けておくが、開業間もない40代であった当時の自分の想いが少し呼び戻され、読んでみると自分の文章ながら結構新鮮に感じた。
大変長く長くなりますが、お時間のある方は下のNo139もさらりと目を通していただければと思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
No139(2010.2.13):トヨタがやばいが、しかし・・・。
“飛ぶ鳥を落とす勢い”とか“無敵艦隊”といわれたあのトヨタが追い詰められている。
確かにここ数年のトヨタは凄かった。なんといっても忘れられないのが、あの1兆円の利益の出た2004年3月期決算。正式には前年同期比54.8%増の1兆1,620億円の最終利益となり、仮に実効税率40%で見積もっても4,600億円の税金である。そりゃ、名古屋や豊田市は潤うわと思ったもんだ。
当時、長女のクラスにお父さんがトヨタに勤める友達がいて、海外旅行はするわ、ボーナスで200万円近くもらった話を聞いてくるわで、私も肩身の狭い思いをした記憶がある。
私自身もトヨタの車には憧れるが同レベルの車であっても他社よりも少し割高感があり、どうしても手が出ずいまだにトヨタ車を購入したことがない。
今回の新型プリウスのリコール問題は社会問題、国際問題にまで発展してきている。
こういった問題(車だけではなく)が起こった時には、今までの企業では隠ぺいや偽装工作が過去に何度も繰り返されてきたし、今回のトヨタの対応も確かにリコールの発表までに数日かかり、社内的にも対応策の決定までに紆余曲折があったことはうかがい知れる。しかし、私は今回のトヨタについては、今まで不祥事を起こした企業とは少し違う捉え方をしている。
今回のトヨタの対応は社長が恥も外聞も捨て、記者会見や発表の場に積極的に立っている。この豊田社長は久し振りの創業家(豊田家)出身であり、何とも言えない“ふんわり感”のある人で、“剛腕”だった以前の奥田社長とは全く違うタイプではあるが、私は、実に“良い人”に見えて仕方がない。何度かテレビで見ているが、絶対に嘘をつかないタイプに思えてならない。
これって、能力という尺度では測りにくいが、経営者にとって何よりも大切なことのように思う。
私はこの人は正直者だと直感的に感じた。世界のトヨタなので豊田社長以外にも優秀な役員がたくさんいるであろうが、トヨタの社員はこのトップの姿を見て感じるものがあるだろう。そういうことからしてもトヨタは、必ず早い段階で蘇ってくるような気がする。
しかし、今回の問題はやはり社内的に目に見えない気の緩みがあったのも事実であろうし、一歩間違えば、企業にとっては命取りになりかねない事件でもある。
“栄枯盛衰”、“ 驕れるものは久しからず”というのは世の常であるが、気の緩みに効果のある、ドキッとする発言録を集めてみた。
【稲盛和夫 京セラ名誉会長】
○良いときに良いように生活しておったのでは必ず人間は不幸になって来る。良い時にも常に最悪の事態を考えた生活を、企業の場合でも個人の場合でもしていくべきだ。
○反省のある人生が道を開く
【永守重信 日本電産社長】
○企業が成長するための原則は、品質の良いものを、どこよりも早く安く作り、顧客の満足を得ることである。顧客の声を無視したおごり、謙虚さの不足はいつの日か必ず見捨てられることを、知らねばならない。
○その人にどれだけの能力があるかという前に、どれだけ信頼できるかということが優先する。いくら有能であっても、人を裏切り、苦しみを共に分かち合うことのできない人には仕事は任せられない。信頼の基本は「ごまかさない」「にげない」「やめない」の三つにあると思う。
○目の前に落ちている小さな部品を見つけてさっと拾おうとするか、見過ごしてしまうか、はたまた安い部品だからと踏みつけてしまうか。ちょっとした違いが各人の仕事の成果を、さらにいうならば、組織の明暗を大きく分けることになる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・