2022年07月24日

No.789:「遠慮なく顧問料を元に戻してください、もう大丈夫です。」

 先週の勇気づけられた言葉に引き続き、今週もうれしかった一言ということで、観光客や修学旅行先生を対象としたアクセサリーや小さな置物の製作・販売 それにその場で製作の体験教室をされている顧問先との会話を取り上げます。

 2年前 コロナが襲ってくるまではSNSでの宣伝効果もあり、国内のお客様はもちろん それ以外にも外国人観光客も加わり、製作・体験教室は一時は予約も取りづらい状況までになっていた。
 お店(体験教室を含む)は奥様がメインで切り盛りされていたが、今が商機と脱サラされたご主人もそのお店に加わり、個人事業であるがゆえの限界はあるものの、コロナ前の売上は開業15年目にして過去最高を記録するまでになっていた。
 お店は古民家に少し手を入れた程度の京都市北区にあるこじんまりとしたものであったが、コロナ直前の年末には更なる売上アップを図るために地下鉄沿線への進出も検討し、テナント捜しもされはじめ出されていた。
 そんな矢先 年が明けてしばらくすると、誰しもが予期していなかったコロナの大襲来に遭った。
 その後はキャンセルにつぐキャンセルの嵐で売上は前年の8割減となり、お店の経営はもちろんのこと、家の方、つまり家計も大変な状況に陥った。こんな状況なので新たな出店計画も断念せざるを得なかったのは言うまでもない。
 ただ、その後の対応は素早く、まずは国民年金や生命保険の支払い、それに住宅ローンの返済等 支払いが猶予できるものはなりふり構わずその手続きをされた。
 また この状態が長引いた場合も想定し、金融機関から無担保で500万円のコロナ融資も受けられた。
 このように資金の手当ては出来たとはいうものの、3ヶ月経っても一向に客足は戻ってこないので、ご主人は介護施設が運転手を募集しているのを見てすぐに応募、そして採用、あっという間に新しい仕事を始められ、今では送迎の運転手以外に施設内でご自身ができる範囲の他の仕事にも取り組まれている。
 奥様の方もお店は続けながら、空き時間を利用してご主人とは別の施設で介護の補助者としてパートの勤務を始められた。
 そしてその後はコロナは収束することなく、幾度かに渡って押し寄せてはくるが、お二人のがんばりで家計の方は破綻することなく何とか回せるようになった。

 元々人気のあったお店なので今では客足も戻り、今年の4〜6月はコロナ前の水準まで回復するに至った。
 ただ、ご主人はコロナのスタート時に就職された介護施設に継続的に勤務する意思を固められ、現在も勤務し続け 固定的な収入を得られている。
 ご主人は今年の夏は賞与もしっかりともらったということで大そう喜んでおられ、なかなか充実した日々を送っておられる。

 この顧問先はコロナ禍ではここに掲げているような状態に陥っておられたので、この最大の難所を切り抜けてもらうために顧問料を大幅に減額していた。
 3ヶ月に一度面談するという当初からの顧問契約に従い、奥様が先週 4〜6月分の帳簿等の資料を持ってこられ、その折に奥様から次のような話があった。
 「お陰様で客足も戻り、私はその対応に追われ忙しくしていますし、主人も定額収入が確保できる新しい職場で定年までがんばると言っています。万が一の時のために借りた借金も手を付けていなかったのでそっくり500万円返しましたし、固定収入がある分 今までより家計は安定しています。もう心配ないと思いますので、便宜を図って助けてもらっていた顧問料は8月分から遠慮なく元に戻してください。もう大丈夫です。」
 実は顧問料を減額してから2年近く経っていたので、私はそのことさえも忘れかかっていたが、ご自分の方から「顧問料を元に戻してください。」とおっしゃったのには驚いた。
 「本当に助けてもらい、そしてお世話になりありがとうございました。」と言われた時にはなんだか胸が熱くなった。
 私の方もお言葉に甘えた形になるが、迷うことなく顧問料を戻すことに決めた。
 暑い日が続くが、顧問先からの思わぬ一言で久しぶりにいい気分にさせてもらった面談でした。
posted by ヒロイ at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする