2022年01月23日

No765:顧問先で毎回トマトが出てくるという話

 私が毎月定期的に訪れる顧問先は20件以上あるが、その中でも毎回同じ決スタイルとはいえ ちょっと変わった形で私を迎え入れてくれる顧問先がある。
 そこはクリニックで、スタッフのいない午後の時間に院長と奥様が対応して下さるが、面談の場所である休憩室に入るなり、テーブルの私が座る側には大きな器に切ったトマトが盛られている(多分 2個分)。そして横にはお塩とフォークが置かれていて、私は軽めのあいさつの後、まずこのトマトを休むことなく食べ、全て食べ終わってから訪問の目的である巡回監査業務に入っていく。
 知らない人が聞くと「これ何っ?」と思われるので少しだけこうなった経緯を話しておく。
 3年程前の夏の暑い日にこのクリニックを定例の面談のために訪れると、「甘い物や清涼飲料水よりも こういった物で水分補給するほうが体にいいですよ」と程よい大きさに切られたトマトがお皿に盛られて出てきた。その冷え方は"キンキンに冷えた”とい表現が当てはまるようなものであった。
 実は私は小さい頃、夏の暑い日に祖母や父が畑でとってきたトマトをそのまま丸かじりすることが習慣のようになっていて、家の裏で切らずにそのまま食べていた。
 そんな中で育ったからなのかどうかは分からないが、トマトは野菜の中でも大好物で、少し野蛮な話だが、きゅうりも端だけ切って、そのまま片方の手に持った塩をかけながら丸かじりすることもあった。
 こういう経験の持ち主であったので、このクリニックで初めてトマトをいただいたときは「めちゃ美味しいですねこのトマト。実は私 トマトが大好きで、こんな仕事中にまさかトマトをいただけるなんてうれしくて・・。」と思わず素直な気持ちでお礼を言った。
 それ以来、毎回必ずトマトが用意されていて、冒頭に書いたような形でその訪問先での仕事がスタートする。
 私の中ではトマトは夏の野菜というイメージであったが、ここでは季節を問わず私のために毎回トマトを準備していただいているので1年に10回位(奥様が不在の時はなし)いただくことになる。
 事務所から2時間近くかかる遠方の顧問先であり、お二人とも私より年が上なので、子供とは言わないまでも弟か後輩がはるばるやってきたという感じで迎え入れてくれるのであろう。
 もちろん、別に何かを出してほしいというわけではないが、このお気持ちが妙にうれしく、ここに着いて車を降りるとなぜか仕事のことよりまずトマトのことが頭に浮かぶというなんとも言えない訪問先のひとつである。
 夏場の訪問時には帰り間際にはこれまコップにたっぷりと入った麦茶もいただいて帰るのだが、トイレの方が事務所に着くまで持たないということだけは、心しておかないといけないことである。

 今日は仕事の中身の話ではないが、こういったユニークとはいえ うれしいおもてなしをして下さる顧問先の話を少し紹介してみた。
 「今日は廣井先生に会えるということで、昼からずった待っていたみたいですよ、うちの先生は。」とトマトを食べているとき奥様から掛けられる言葉も疲れを吹き飛ばしてくれる。
 税金や経営の話だけでなく、こういう時間もある意味 大事で、こんな形のコミュニケーションの中からふと妙案が浮かんできたりすることもある。
 「2月は〇日がトマトの日か」と手帳を見ながら、うれしい気分になれるだけでもありがたい。
 当然のことながら毎回トマトの大きさも固さもそして味も少しずつ違うが、これも楽しみのひとつなってきている、「今日はどんなんかな」と。
posted by ヒロイ at 23:25| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする