私の事務所で4名で打ち合わせをすることになっていて、私とあるドクター(A先生)は予定時間である午後5時の10分くらい前からスタンバイしていた。
この日に非常に重要な話に来られる予定になっていたある取引関係の会社の方(Bさん、Cさん)が、約束の5時を10分過ぎても、15分過ぎてもお越しにならない。
A先生と顔を見合わせながら、「何が何でも遅いですよね、連絡もないし。何かトラブルでもあったのかもしれませんが、一度 連絡とってみます」と言ってBさんの携帯電話に連絡を入れると、電話が繋がり 私がまず第一声目に「今日、17時でしたよね?」と言うと、Bさんは「えっ?!」と驚きの声をあげたまま しばらく何もおっしゃらず、10秒近く経ってから「今日6時でなかったですか? ちょっと待ってください。」と言って、また数秒の空白の後、「大変申し訳ございません、前回が6時だったのですっかり今回も6時と思い込んで動いてました。今、そちらに向かってますが、到着は6時前くらいになりそうです。大丈夫でしょうかね、お時間の方は。」とおっしゃったので、「とりあえず待ってますので、気をつけてお越しください。」と言って電話を切った。
このA先生はとてもお忙しい方で、この日も5時前から5時半までならなんとか時間がとれ、45分までなら延長可能、ただ それ以降は次の予定が入っているのでどうしても6時は無理ということであった。
しかし、タイムリミットの45分になってもBさんとCさんは到着されなかったので、A先生は私に「今日は仕方ないというか、せっかく時間を確保できたのに残念です。Bさんがお越しになられたら次回の面談日を相談しておいてください、私は〇日の午後と△日の夜なら大丈夫ですから」と言い残して急いで帰って行かれた。
普通なら、こんな時間の間違いをされると怒り爆発となってもおかしくないし、私もヒヤヒヤしている中で このA先生の冷静な対応には驚いた。
この後、6時に到着されたBさんとCさんが今まで仕事に中ではあまり見たことがないくらい頭を下げ続けられたが時すでに遅しで、今日の大事な本題の話ができないまま、次回の面談日を調整する流れになった。
そしてそれから3日後の何とか調整がついた時間に今度は4人で、面談をすることができた。
この話、当事者であるBさんとしては、頭を丸太で殴られたくらい(今どきこんな表現はご法度か?)の状態であっただろうし、本来であればあってはならないことであるが、このA先生の神のような対応に救われたとしか言いようのない時間に関する“事件”であった。
約束の時間を守るというのはある意味 決まりきったことであるし、場合によっては人間性そのものの評価に直結することだってある。
私は時間に特別に厳しいという感覚はないが、どんな面談でも、どんな相手であっても、面談の中身について 常に対等は状態でスタートを切りたいと考えている。 だから、「すみません 今日は少し遅れ、お待たせしまして」という言葉だけは口にしないですむように心掛けている。
頭を下げ、お詫びから入っていく面談(交渉)なんて、まずはマイナスからのスタートになるし、当方にとって決して良い結果にならないような気がする。
時間をまず自分の方へたぐりよせ、自分のものにする。そして自分のペースで時間を使う。
これってすごく大切ですよね、どんな場合であっても。
みなさんの時間に対する思いはどんな感じでしょうか。