前々回のNo733で私が予想した 陸上競技 男子100mのオリンピック最終選考会の結果であるが、一昨日 決勝があり結果がでた。
順位を予想していた者としては40%くらいの今一つの出来で 残念であったが、生き物(生身の体)は、その場面や雰囲気、それに各人のちょっとした体調の変化でどうなるか分からないというのを目の当たりにした近年まれにみる緊迫したレースであった。
さて 本題に入ることにするが、
みなさまもご存じのように私は医院の新規開業に数多く関わってきたが、その中の1人で 20年程前に開業支援をし、現在70歳を超えた先生から「いよいよ医院の閉る日も近いので、その方法や時期について いっしょに考えて欲しい」と相談された。
税理士の仕事をしていると人生の幕を閉じられた後、その方の相続人から相続についての相談があることもあるし、相続税の申告業務は年に数件はあり、これは一定のルールに従って期日内に仕上げるという点ではある程度 手慣れたことではあるが、事業の終い方というのは期日が決まったものでないということもあり、何から手をつけていいのかという点も含めと難しい面がある。
後継者として院長の子供等の親族に引き継がれる場合や他人(第三者)に一定の条件のもと 譲る場合には、次の引き継ぎ者が決まっているので、いろいろな取り決めや交渉の煩わしさはあるにしても、どこかの時点で完了するという 終点がはっきりしている。
しかし、後継者がいない方で、いつ医院を閉めようか、いつ自分は身を引こうか悩んでいる場合は、なかなか事が前に進まないことも多い。
いろいろな問題が絡むし、当然のことながら守秘義務のこともあるので、ここでは細な部分についてまで触れることはできないが、今なお 診療ができる体の状態であるにも関わらず引退するということは、自分で見切りをつけないといけないという点においてそう簡単にできるものではない。
年配の先生やその家族には失礼な言い方になってしまうが、亡くなられたり、病気やけがで診察ができなくなれば踏ん切りがつくのだろうであろうが、まだ診察できる体でありながら辞めるということは勇気のいることである。
たとえ「○○歳で辞める」と決断されても、患者さんのことや従業員のことを考えるとそう簡単に辞められないというのが本当のところであろう。
私が相談を受けた先生は、スタッフの方から、「先生、家も建てたし、ローンもあるのでしっかり働きます。先生も健康でずっと診察を続けてくださいね」と言われたとのことで、この先生はこの話が頭から離れず困ったとおっしゃっていた。
辞める決断ができるのは、子供さんが自立されているのは大前提であるが、今後の奥様との生活や自分自身が残された人生 何をしていくか、そしてお金の心配はいらないのか等、本当に考えることは山ほどある。
この先生からは、「終い方のアドバイスを」と言われているが、なかなか「これだ!」という方法は見つけられないし、正しい答えはひとつだけとは限らない。
ただ、こういう局面はいろいろな形があるにしろ、誰もが通っていかないといけない道なので、他人事とは思わず、真剣になって相談に乗って、「ええ形やったわ。ありがとうな。」と言ってもらえるようなんとか力になれればと思っている。
医院の経営が先細りにでもなれば、ある意味 踏ん切りがつけやすく着地点は導きやすいのであろうが、いい状態で閉める場合には、資金面においては多少ゆとりがあるのは事実であるが、動いているものを止めるという点においては難しい面もあるなと実感している。
でも、この先生の「悪くなる前に辞めたい」というの思いを実現できるよう導かないといけない。
これには この先生も私もまず健康であることが第一であるので、何をするにも体が資本であるていうことをあらためて感じた。
私自身もこの先生と同様 健康の維持が必要であるが、そのためには まずは“暴飲”を慎むことは必須であろう。
何本も並ぶ地酒の瓶を目の前にして きつい話であるが。