2021年06月27日

No735:事業は引き際も難しい

 まず、本題に入る前に    
 前々回のNo733で私が予想した 陸上競技 男子100mのオリンピック最終選考会の結果であるが、一昨日 決勝があり結果がでた。
 順位を予想していた者としては40%くらいの今一つの出来で 残念であったが、生き物(生身の体)は、その場面や雰囲気、それに各人のちょっとした体調の変化でどうなるか分からないというのを目の当たりにした近年まれにみる緊迫したレースであった。

 さて 本題に入ることにするが、
 みなさまもご存じのように私は医院の新規開業に数多く関わってきたが、その中の1人で 20年程前に開業支援をし、現在70歳を超えた先生から「いよいよ医院の閉る日も近いので、その方法や時期について いっしょに考えて欲しい」と相談された。
 税理士の仕事をしていると人生の幕を閉じられた後、その方の相続人から相続についての相談があることもあるし、相続税の申告業務は年に数件はあり、これは一定のルールに従って期日内に仕上げるという点ではある程度 手慣れたことではあるが、事業の終い方というのは期日が決まったものでないということもあり、何から手をつけていいのかという点も含めと難しい面がある。

 後継者として院長の子供等の親族に引き継がれる場合や他人(第三者)に一定の条件のもと 譲る場合には、次の引き継ぎ者が決まっているので、いろいろな取り決めや交渉の煩わしさはあるにしても、どこかの時点で完了するという 終点がはっきりしている。
 しかし、後継者がいない方で、いつ医院を閉めようか、いつ自分は身を引こうか悩んでいる場合は、なかなか事が前に進まないことも多い。

 いろいろな問題が絡むし、当然のことながら守秘義務のこともあるので、ここでは細な部分についてまで触れることはできないが、今なお 診療ができる体の状態であるにも関わらず引退するということは、自分で見切りをつけないといけないという点においてそう簡単にできるものではない。
 年配の先生やその家族には失礼な言い方になってしまうが、亡くなられたり、病気やけがで診察ができなくなれば踏ん切りがつくのだろうであろうが、まだ診察できる体でありながら辞めるということは勇気のいることである。
 たとえ「○○歳で辞める」と決断されても、患者さんのことや従業員のことを考えるとそう簡単に辞められないというのが本当のところであろう。
 私が相談を受けた先生は、スタッフの方から、「先生、家も建てたし、ローンもあるのでしっかり働きます。先生も健康でずっと診察を続けてくださいね」と言われたとのことで、この先生はこの話が頭から離れず困ったとおっしゃっていた。
 辞める決断ができるのは、子供さんが自立されているのは大前提であるが、今後の奥様との生活や自分自身が残された人生 何をしていくか、そしてお金の心配はいらないのか等、本当に考えることは山ほどある。
 この先生からは、「終い方のアドバイスを」と言われているが、なかなか「これだ!」という方法は見つけられないし、正しい答えはひとつだけとは限らない。
 ただ、こういう局面はいろいろな形があるにしろ、誰もが通っていかないといけない道なので、他人事とは思わず、真剣になって相談に乗って、「ええ形やったわ。ありがとうな。」と言ってもらえるようなんとか力になれればと思っている。

 医院の経営が先細りにでもなれば、ある意味 踏ん切りがつけやすく着地点は導きやすいのであろうが、いい状態で閉める場合には、資金面においては多少ゆとりがあるのは事実であるが、動いているものを止めるという点においては難しい面もあるなと実感している。
 でも、この先生の「悪くなる前に辞めたい」というの思いを実現できるよう導かないといけない。
 これには この先生も私もまず健康であることが第一であるので、何をするにも体が資本であるていうことをあらためて感じた。
 私自身もこの先生と同様 健康の維持が必要であるが、そのためには まずは“暴飲”を慎むことは必須であろう。
 何本も並ぶ地酒の瓶を目の前にして きつい話であるが。
posted by ヒロイ at 12:25| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月20日

No734:小心者も悪くはない

【小心者】気の小さい人。臆病な人。度量の狭い人。
 どれをとってもよい意味には捉えにくく、どちらかというとマイナスのイメージで、さらに 勇気がなく、自ら進んで行動できないような人のことを指すこともあり、いずれにしてもよいことは浮かばない言葉である。

 先日久しぶりに稲盛和夫さんの書き物に目を通す機会があり、小心者で臆病なご自身について触れられていた内容が非常に興味深く、今日は少しそのことについて私が感じたことを書いてみようと思ったので、冒頭で わざわざ“小心者”の意味も掲げておいた。

 私も一応 経営者であるが、自分のことよりも顧問先の多くの経営者の方々の顔を思い浮かべてみると こういった性格も経営に何らかの影響を及ぼしているように思えてくる。

 小心者という言葉は確かによい意味で使われることは少ないが、稲盛さんが言うように臆病というのは、石橋を何度もたたいてから渡るとか、最悪の事態も想定しておくとか等、用心深く、繊細な気持ちも持ち合わせており、経営者としてはある意味 重要な要素であるとまでも言われている。
 中には図太い神経の持ち主で自信たっぷりの人が突き進んで成功した例もあると思うが、どちらかというと用心深い人の方が好感が持てるし、自分でも少しはまねてみようかという気にもなる。

 仕事だけでなく日常生活でも、遊びでも細かなところまで事前に考え、徹底とまではいかなくともある程度の準備をしておいた場合の方がことがスムーズに進んでいったという経験は誰しもお持ちであろう。
 顧問先の中には予期せぬトラブルや外的な要因で危機にさらされそうになっても、常に物事を前向きにとらえ難局を乗り切ってこられた経営者が何人もいらっしゃる。
 こういった方は用心深さや繊細さは当然 持ち合わせているが、いざ検討すべきことがあればしっかりと考え、決して結論を引き延ばすようなことはされないし、そしていざ決断を下せば、「よし、行こう」と、即 実行に移される。用心深さと対極とさえ思えるような即断も熟慮の結果としてとれる行動であろう。
 ただ、こういった方は前に進むことばかりではなく、「よく考えたけど、あの件、うちには必要ないわ」とか「不相応と思うんでやめとくわ」と止める時の切り替えも非常に早く、中には切り替えだけでは終わらず、その後の代替案が準備されていることもある。
 この場で顧問先のことを言うのもなんだが、決断の早い人で悪い方向へ行った例は非常に少ないように思うし、相対的にできる人は何に置いても素早いように思う。逆に厳しい言い方をすると、判断をするのに時間を要するのは、事前に索が練られていないからであろうとさえ思ってしまう。
 事務所では、顧問先へ出向くのは私だけでなく、10人近くの外勤部隊がいるが、定期的な面談時には必ず質問や確認事項を準備されている方があり、中には聞きたい内容を書き留めたノートを目の前にして面談が始まる方もある。
 面談時の質問として一番多いのは、経営上 気になる一つの事象、例えば コロナが及ぼしている影響等について他の事業者と比較して自分の所はどうかということである。
 ここであげるのもどうかなと思いつつも、がっかりする例をあえて挙げておくと、ご自身ではあまり深いところまでも考えずに、「何かええ話ないですか?」、「私は(うちの会社は)この先どうしたらいいんでしょう?」という返答するのにも困るような質問をされる経営者である。
 
 今日は小心者の意味から始まり、最後はよい経営者とがっかりさせられる経営者の話で締めることになるが、税理士という仕事は顧問先を通して、自分が経験する何倍もの事例に接することができ、役得だなとつくづく感じた。
 
 私が感じたことを、結構好き勝手に綴りましたが、みなさまにも何かの参考にしていただければ幸いです。
posted by ヒロイ at 17:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月13日

No733: 久しぶりに陸上競技の話題です

 コロナの感染がなかなか収まらない中、こういったところでスポーツの話題に触れることはなかなか勇気のいることである。
 オリンピック・パラリンピックが開催の是非についてほとんど議論されないまま、開催ありきという方向で話が進んでいってしまっているようにも思うが、この現在の状況は国民として何とも不思議に思えてくる。
 これは またまだ開催に対して不安感が拭えない感染の状況が続いているのでなおさらであろう。
 
 そういった中でも、2週間先に迫ったオリンピック 陸上の最終代表選考会を兼ねた第105回日本陸上競技選手権大会が大阪で開催されるが、今回はかつてないくらい注目される種目がある。
 ここからはオリンピックの開催の有無の議論とは関係なく、一陸上ファンとしての競技に関するコメントと捉えて読んでいただきたい。
 具体的にはご存知の方もあろうかと思うが、なんといっても5人がオリンピック参加標準記録を突破している男子100mのレースについてである。
 この5人の内4人が9秒台のタイムを出しているという日本では今までに見ることのできなかった日本人同志のハイレベルなレースが大阪で行われるということである。
 先週、山縣選手がそれまで9秒台を出していた3人の選手のタイムを一気に抜いて、9秒95という日本記録を出したが、オリンピックは同一国3名の枠があるので3人しか出場できないし、代表に選ばれるのは今回は日本選手権での上位3名と決まっているので、山縣選手と言えども4位になったり、万が一フライングでもすればたとえ日本記録保持者であっても出場はできないという規定になっている。
 オリンピックの開催について こんな不安定な時期に不謹慎な内容かもしれないが、オリンピック云々ということはいったん横に置かしてもらって、この100mのレースだけはアスリートの血が騒ぐので自分なりのに予想を立ててみた(ここからは陸上に興味にない方はスルーしてもらった方がいいのかも)。

◆私の予想は
1位 山縣(自己ベスト9.95)
2位 サニブラウン(9.97)
3位 多田(10.01)
4位 桐生(9.98)
5位 小池(9.98)
ケンブリッジ飛鳥(10.03)は7〜8位あたりか

 私の見立てとしては、山縣以外では多田が今 一番昇り調子のように見えるし、いつも70mくらいまではトップなので、もう少し持ちこたえれば9秒台に突入するように思う。
 桐生は滋賀県彦根市出身で洛南高校卒の関西人であるが、この多田選手も大阪桐蔭高校→関学大卒という日本男子の陸上界では数少ない関西の大学出身者なので多少 ひいきにしている選手である。
 さあ、2週間後にはどんな結果になっているのであろうか。
 今回は仕事のことも忘れて、久しぶりに陸上競技マガジンの編集長のような気分で大一番の予測をさせてもらった。

 こんな時期なので大好きな甲子園での高校の野球観戦もあの金足農業が話題を呼んだ2019年の夏を最後に行っていないし、サッカーや駅伝ももっぱらテレビ観戦である。
 ただ スポーツの関していえば、実は私にとって今年は うれしい珍事が2つも重なっている。
 プロ野球は甲子園に足を運ぶような熱狂的なファンではないが多少ひいきにして応援している阪神タイガースが、何年振りであろうか 首位独走中であるし、もうひとつサッカーでJ2に落ちてかなりの年数になる京都サンガが現在2位で、もしかすると久しぶりにJ1に復帰するかもしれないところで踏ん張っている。
 どちらも秋にはやっぱり「ダメ虎」、「ダメ サンガ」で終わっているかもしれないが、まあ今のところはワクワク感をもって結果を追っている。

 このような大変な時期に個人的に興味のある話に終始しでしまったがなって、こういった話題もたまにはお許しください。
 下を向いてばかりではどうしようもありませんから。
posted by ヒロイ at 17:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月06日

No732:不謹慎? 医者がかっこよく見える

 当事務所の顧問先は開業医が多いが、コロナがクリニックの経営にも影響を及ぼすようになった昨年の2月頃から、顧問先の全てのクリニックについて、どのような影響を受けているのかをさまざまな角度から検証し続けてきた。
 その検証の基本となるのが毎月の収入が前年の同じ月と比較してどのように変動してしているのかを把握することである。
 各担当者が作成した毎月の経営指標が全件 私の所にまわってくるので、診療科別に一覧表を作成し、その推移を1年間追ってきた。
 さらにコロナの感染状況は地域差が大きいので都市部とそれ以外を区分することと、開業医の経験年数の違いも何らかの影響があるだろうと思ったので その年数も分かるように一覧表に加えた。
 そしてその総まとめが昨日 完成したので、顧問先の経営指導に役立ててもらおうと私のコメントもつけて事務所のメンバーに送信した。

 この検証で診療科、地域差、開業年数以外にも各院長の経営努力が数字となって表れている先と、なかなか努力報われていない先があることもわかった。
 残念ながら、コロナ禍においては今までに経験した経営環境の変化と異なり 院長の努力がすぐさま経営改善に結びつかないケースがあり、あらゆることについて予想がつきにくいという このコロナの持つべき恐ろしさも影響していた。
 ただ、一年以上たつと各院長のコロナに対する姿勢の違いが徐々に数字に反映されることもわかってきた。
 何かにつけ、「〜だから仕方がない」とか、「自分ひとりの力ではどうしようもない」という人は、今回もこの言葉を何度か口にされていたし、逆に「できる範囲で、できることから手をつくしつていかないと」という人とでは、当然のことながら結果に差が出てきている部分も見受けられた。
 コロナに真正面から向き合う医者だけが評価されるものではないし、いろいろな理由によりコロナとの関わりを少なくしようとされている開業医の先生がいるのも事実である。
 ただ、どんな状況下に置かれたクリニックであっても、顧問先の一人、あるいは一件たりとも脱落者を出さないことは関与税理士の役割のひとつなのかもしれない。
 私が毎月面談する院長の多くは、院内での個別接種、行政が準備した会場での集団接種と休む間もなく、コロナのワクチン接種に時間を割いておられる。
 もちろん自分のクリニックでの通常の診療はこなしたうえでのことなので、こういった先生方の生活はどうなっているのかとこちらが案じてしまうくらいである。
 こういった先生方の中には、自分の行動がクリニックの経営にプラスになっているのかどうかという観点からではなく、まさに「国家の一大事に我々の力を」という気持ちで臨んでおられる方もあり、その熱意がこちらにも伝わってくる。
 つい「夏までは仕方ないです、実は体はへとへとですが・・・。」という言葉を口にされることもあるが、何とか任務(一種のノルマ)をこなされている。
 ここで私がこういったことを綴ると、「そこまで一人の医師ががんばらんでも」 なんていう人もいるかもしれないが、医者でない私から見ると何とも頼もしいというか、ある意味 かっこよくさえ見え、思わず「ご苦労様です」、「ありがとうございます」と声をかけたくなってくる。
 今回は一般国民だけでなく、総理大臣や国会議員であっても、大企業の社長であっても医者にワクチンを打ってもらわなければ何も始まらないし、前に進むことさえできない。
 正に医師を含む医療従事者こそが国家を救うという状況になってきている。
 私は医師ではないので直接コロナと向き合うことはないが、こういったドクターが運営するクリニックをサポートすることで、間接的コロナと関わることができているのかなと考えながら毎日の業務に取り組んでいる。

 何はともあれ、通常の生活ができる日が一日でも早く戻ることを望んでいるし、そうなったときには、コロナ禍のことをどう語っているのだろうかと想像できるところまで近づきつつあるのかなと希望が持てるようになってきた。
 ただ そういった状況が現実のものになるには、更にひと山、ふた山 越えないといけないのであろう。
 本当にコロナはどこまでいっても手強い相手である。
posted by ヒロイ at 14:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする