2020年11月29日

No708:理想の税理士って?

 税理士業務をしていると、顧問先の経営者の方とのやり取りは会計や税務のことが基本であるが、それ以外にも労務問題、継承を含む将来の構想や今後の事業展開等、相談の内容は非常に多岐にわたっている。
 そういった経営者とその顧問税理士との理想の関係はどんなものなのか、これについては十人十色というか千差万別というか、顧問先の方 一人一人によって求めておられるものに違いがあり、ご夫婦で運営されている場合でお二人の意見が異なることだってたびたびある。

 当事務所の顧問先には大企業はなく、中小零細企業や開業医がほとんどであるので、決算書を含む財務諸表や申告書に上がってくる数字だけの分析や説明だけでは経営者のニーズに応えられないこともある。
 個人や家族にとっての必要な資金であったり、親、ご本人、配偶者、子 それぞれの将来についての方向性の相談も数多くあるが、全ての経営者がそれを望んでいるかというとそうでない場合もあり、会社の財務数値のみきちんと把握するだけでよく、個人的な事情までは入り込んでほしくないと思っておられる経営者もないわけではない。
 我々顧問税理士であるので、当然のことながら経営者の心の中まで探りながら税務顧問の仕事をしているわけではないが、この辺の関わり方というか、深度について人それぞれによって違いがあるので非常に悩むことところでもある。
 ただ、どんな場合でも信頼関係があって、初めて我々の業務は成り立つので、この信頼関係の構築こそが命と言っても過言ではない。

 私もこの仕事をしてから今年で36年目、勤務先を退職し独立開業してから13年になるが、信頼関係を築くということは年齢や経験に関係なく、非常に難しく、時と場合によっては長い間保ってきたの信頼関係が一瞬にして壊れる(壊れた)ことだってある。
 税理士と顧問先との関係をあらためて考えてみると、一般的な商売とは大きく異なる点がある。
 上下の関係で物事をとらえるのはよくないのは分かっているが、顧問先の方々は税理士あるいは税理士事務所に顧問料を払うという点においては顧客であり、そのことだけをとらえると税理士の上に立つ人側かもしれないが、顧問先の方々が何か質問や確認をされ、それに対して教えたり、伝達している時には、その二者の間に“教える”という行為が存在するがゆえに、そこにはついつい教える側と教わる側という関係が存在することもある。
 この辺が仕事をしていて非常に難しく感じることでもある。
 ただ、上とか下とかいう関係でなく、深い信頼関係あれば、そんなもの上でも下でもどちらでもいいというのが本当のところであろう。
 そういった意味においても、我々の仕事はまずは正しいことを伝えること、それもできるだけ早く。また、自分の強みと弱みを自覚し、強みはより強く、弱みがもしあれば、それを弱みとはならないように努力をすること、それと顧問先の経営者の方の真の要望、つまり文書や口頭だけでなく、その経営者が胸の中にある重要な部分ををつかむという、非常に難しい技術と能力も必要となってくる。
 これらは学習だけでなく、更に自分というものを高めていかないとなかなか要望に応えられない部分である。
 こんなことを考えていると、税理士として顧客満足度を高めることは奥が深く、本当に難しいものであり、多分この仕事から身を引く時まで解決しえないことであろう。

 最後に我々、税法という法律を扱うという観点から、ここだけは超えてはならない線というものだけは、絶対に忘れずに業務に取り組んでいかないなとあらためて思った。
 なんだか小難しい話になってしまったが、「いくつになっても、どんな立場になっても、しっかりと仕事をしろよ」と自分に言い聞かせて今日の話は終わりにします。

 では、世の中が再びコロナで騒がしくなってきましたが、対策だけは各自で万全を期し、毎日をお過ごしください。
posted by ヒロイ at 19:39| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする