2020年07月05日

No687:”肌感覚”で こんな時 どうするのがいいですか?

 新型コロナウイルスの感染拡大も少しは収まりつつあるのかなと思ったのも束の間、拡大とまではいかないにしても収束という状態が遠ざかっていくここ数日の報道を見ていて、他の多くの国と同様とはいえこの出口の見えない状況に苛立ちさえ感じてしまう毎日の感染者数の人数である。

 こんな状況が続く中、今までどおりの経営手法で会社やクリニックの運営が問題なくスムーズに進めていけているところは数少なく、営業時間の短縮や人員配置の見直しに始まり、販売する商品そのものの再検討であったり、クリニックにおいては診療方法の変更を余儀なくされているところも少なくない状況である。
 我が事務所も多くの税理士事務所同様、顧問先ごとに担当制をとっているので私自身が定期的に訪問できていない顧問先もあるが、ここ数ヶ月、あるいは1年近く話すらしてなかった経営者や院長から、直接 私の携帯に連絡が入ることがある。
 必要資金調達のための金融機関との交渉や提出書類の準備、あるいは今 話題となっている雇用調整助成金に絡む必要書類の依頼や準備については担当者サイドで説明し、順次 手配を進めているので問題ないが、私の所へ直接連絡があるのは休業(スタッフの間引き勤務を含む)するのかどうかとか、このタイミングでお金を借りておくべきかどうかなど、今後の経営にかかわる判断をする上での経営者の“肌感覚”としてどうなのかを聞きたいという問い合わせや確認が多いように思う。
 この“肌感覚”というのは経営をシミュレーション等の数字上の観点から捉えるだけでなく、まさに“肌で感じとれるもの”ということで使い方によっては非常に都合のいい言葉であり、まさにニュアンスでは?ということを含んだものともいえるであろう。
 例えば追加融資を受けたあと、当然のことながら資金繰りには余裕が生まれ、毎日 預金通帳の残高を心配しながらの経営からは一時的には脱却できるし、スタッフのことにしても勤務時間の短縮により支出金額を抑えることができ、こちらもある程度即効性が期待できる。
 ただ、この資金が経営者の心に余裕を持たせるだけにとどまらず、油断になりかねないという落とし穴がある。
 また、スタッフのことにしても経営者との関係において、深い信頼関係が築かれていたものが勤務時間を減らすことをスタッフに嘆願することによって関係が強固でなくなったり、将来の雇用関係にまで不安定な要因を作り出す可能性だってないわけではない。
 私への質問はこういった感覚的なものや過去において私が経験したことなどを聞き出したいという経営者の思惑が感じとれる。
 このように事務所の担当者を通り越して、私へ直接 質問がくるというのは、経営環境が悪化し、難しい時代に入っていることを物語っている。
 こんな話があった時には当然のことながら担当者に内緒にするのではなく、「私の意見を聞きたいということで、〇〇先生から直接 私の所へ連絡があった」と具体的な内容まで伝えるようにしているし、これは経営者と私だけで進められるものではないことは百も承知である。

 この春から夏にかけて何名かの経営者(院長)や経理を担当されている奥様から軽い愚痴として言われたのが、『がんばっている特定の人に特別の手当を新たに付けたり、コロナの中で頑張ってくれたことに報いて夏の賞与に特別手当を加算したのに、お礼や感謝の一言もないんですよ。』という話である。
 これってまさに「出してあげたのにどうして喜ばないの?」という経営者感覚であるし、この心情は確かに経営者にしかわからないかもしれないように思う。
 私もこういったスタッフに「喜んでほしい」という感覚がなかったわけではないが、今ではこういったことも段々分かってきて「口にはしないだけで、心の中ではきっと喜んでくれている」と捉えられるようになってきた。
 こういった境地になれるまでには10年近くかったが、もう今では相手がどう思おうと支払う自分が心地よく、かつ、満足すればそれでもいいのでは なんて思えるようになってきた。
 こういうことってやはり経営者感覚というものであり、経営者の方々はこういったことについて私に同意を求めたり、何らかの指針を示してほしいという思いから連絡されてくるのであろう。
 こんなことでよければいくらでも相談に乗ったり、話をしたりできますよ というのが私の気持ちである。
 こういったやりとりをする中でも一応 私にも存在価値があるのかなと少しだけ勝手に満足しながら今日の話は終わることにします。
 コロナと雨と暑さと戦いながらの大変な週になりそうですが、みなさん無理をせず毎日過ごしていきましょう。
 では。
posted by ヒロイ at 22:54| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする