2020年05月10日

No679:試されている社会、事務所、そして自分

 今回のコロナ騒動で世の中のいろいろな仕組みが変わりつつある。
 予期せぬ休業を強いられたり、お世話になるつもりもなかった金融機関に融資の申し込みに行くことになったり、忙しくて人手不足であった現場が今やお客様や患者様の減少により人余り状態になったりと、3ヶ月前には誰しも想像すらしていなかった状態になっている。
 我が事務所でも時差出勤に始まり、出社制限による在宅勤務や顧問先への訪問自粛など、私が社会人になって初めてのことばかりであるが、世の中の状況に合わせながら事務所もことを進めているというのが今の状況である。
 何年か前の社会なら大混乱をきたしていたであろうが、まさにオフィス環境の進歩や社会の変革はすごいもので、当初はもしかすると混乱するかもと危惧していたようなこともほとんど起こらず、事務所の仕事は順調に進められている。
 毎日、手帳と時計を食い入るように見ながら、行動予定を立てていたが、外出が減った分、今は事務所内にいる時間が多くなってきている。
こんなことを言うと暇になっているのではと思われても不思議ではないが、なぜか今まで同様か今まで以上に日常業務に費やす時間が多くなってきている。
 今から思えばこれまでは数字をつくり、顧問先に出向いて説明するというのがお決まりの流れであったが、この1ヶ月間のように顧問先に出向かないことが増えてくると、不思議と顧問先のことを思う時間が増えてくるというか、顧問先の経営者の顔が今まで以上に頭の中を行ったり来たりしている。
 今までは仕上がったものを対面で説明する場合には、いざとなればその場に行ってからぶっつけ本番であっても乗りも切ることができたが、こういった面談の機会が与えられないとどんな方法でどの点にポイントを絞ってやり取りするのか、また顔の見えない顧問先の要望をいかに読みとるのか、今までにはない一種の“技術”が必要となってくる。これって本当に大変であり、今までの何倍も頭を使うし、自分たちが必要とされている度合いもなんとなく読み取ることもできる。
 また、事務所のスタッフとも毎日会うのが当たり前であったのが、今では週に2回くらいしか顔を合わさないので、会わなくとも他の方法で伝達したり、意思確認をする必要がある。
 これも当初は多少戸惑いもあったが、今ではこのスタイルに違和感もなくなり、必要なことは必要な時に必要なだけという、逆に無駄なく対応するようお互い気をつかってことを進められている。
 夫婦や家族も毎日いっしょにいるより、週に一回しか会わない関係の方がうまくいったり、意思疎通もとれていることさえある なんていうことを聞いたことがあるが、これってある意味本当なのかもしれないと思う。

 中には毎月会うことを楽しみにされていたり、面と向かって相談することで、より大きな安心感を抱いてもらうこともあったのかもしれないが、面談がしづらいこの状況の中で顧問先を何とかよい方向へとリードできるよう、否応なしでも知恵を絞り対応しているという、今まで以上に締まった関係になってきていると感じることさえある。
 社内的にも対外的にも今の状態が決していいわけではないし、早く今までの状態に戻ればと願っているが、今度戻った時は今までとは違ったものの見方や考え方で新しい関係を築くことになりそうである。

 そういう意味では、税理士や税理士事務所、それに各会社の社内の状況もいきなり実験中という場に放り投げられた感じがしないわけでもない。
 今回のコロナ騒動が収束した時、世の中がどう変わっているのか、もちろん経済、経営の立て直しが第一優先であるのは分かっているが、その代わってしまった世の中にいかに順応して行けるかが、これも事業を運営する上で非常に重要なことになってくるだろう。

 悪い頭をひねりながらいろいろと考えてはいるが、結論めいたものには何一つ到達していないし、何も考えずに生きているととんでもない方向へ行ったり、世の中から置き去りにされたりするという怖い世界に入って行っていることはなんとなく肌で感じることができる。

 こんな時、我が家の愛犬ぽぽたんだけはいつもと変わらぬ素振りで私の顔を覗き込んでいる。本当に屈託のない最高にいい奴である。
 人間と違って計算づくで動くのではなく、自分の思いのまま動く姿を見ると 人間界でいろいろと考えながら生きている自分がつまらなく感じることさえある。
 「ぽぽ、ほんまにええ子やな」といいながら頭をなでる時が一番気の休まる時でもある。
 ぽぽたんはいっしょに住む家族の少なくなった我が家には今やなくてはならない存在であることは間違いない。
 
 では今日はこの辺で・・。
posted by ヒロイ at 22:45| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする