2020年03月29日

No673:予定が立てられる、それってとてもありがたいことだったんだ

*お断り・・終わってしまえば思わぬ長文になっていました。

 今回のというか、今なお継続中のコロナ騒ぎに端を発し、今や世界中が大混乱に陥っているが、ここへきて当たり前のことが、当たり前でなくなってきている。
 日本の場合、春になれば新学期で学校が始まり、また、ほとんどの会社が新入社員向けに入社式をする。 我々の仕事でも所得税確定申告の期限は3月15日(今年は暦の関係で16日)と決まっていたのに今回は4月16日に申告期限が延長となった。
 スポーツの世界でも春になれば、必ずプロ野球やサッカーJリーグが開幕し、甲子園での高校野球も春と夏の2回開催されることを誰しも疑ったこともないし、まるで暦を確認するかのように決まった時期に必ず各スポーツやイベントが開催されていた。
 また先日、延期が決定したオリンピックも 夏季大会は2月が29日まである うるう年にあると決まっていたがこれも覆され、何と来年開催となれば前回大会から数えると5年目になってしまう。
 当たり前が当たり前でないことの怖さにまだ気づいていないこともあるのだろうが、今年の春は当たり前でないことだらけである。

 昨年の今頃は誰しもが初めて経験するゴールデンウェーク10連休というウキウキするような大きなプレゼントを与えられ、休み中の過ごし方を考える中でさすがにこの間 途中で1、2日は仕事をしないと仕事がさばけないかななど 浮わついた気持ちながらも少しだけ気も引き締め、4月末からの連休の予定を立てていた。
 それが今年はどうだ? 暦の上では当然のことながら他の季節にはない大型連休であるが、「さあ、どうしよう?」、「どこへ行こう?」なんて考える気にもならない。もし、運よく その頃に多少なりともこのコロナのことが下火になっていれば(多分無理だろうが)、美味しいものでも食べに行こうかなというくらいは希望を持ってはいるが、これとて実現できる状況になっているのかどうか予測さえつかない。
 旅行の計画だけではなく、日常的に若い人たちがよくやっている(私はやったことがないが)おいしそうな料理を食べる前にスマホで写真を撮ったり、多く人がどんな返礼品を手に入れるのかと楽しみながらふるさと納税に精を出したり、あるいは数多くあるラーメン屋、たこ焼き屋それにケーキ屋さんは同じ食べ物を食べ比べしないと分からないのでとりあえず何店舗かまわってみるというような行動をとる人も私に周りには何人かいた。それが今年は行動そのものが自ずと制限され、また、旅行どころか花見もままならない そんな気持ちにもなってきている。

 顧問先である開業医の先生方も春の学会はほとんどなくなり、我々の業界も研修会というのは少なくとも4月末までは開催されなくなったし、5月以降の予定もあやしい状態である。
 税や経営、それに投資の世界で話題になった 個人投資家のための税制優遇制度であるNISAやこれから起こり得る事業のバトンタッチの時に利用すべく事業承継税制なるものも、決して利用(使用)しないわけではないが、ここまで世の中の情勢が不安定になってくると、どの時点でどの税制を使うのが有利なのかの判断にも迷いが生じてくる。

 私は今まで多くの経営者の方々に、「研鑽を積むことを怠らず、良い意味での意地とプライドを持って経営に携わっていきましょう」なんて偉そうなことを言ったこともあったが、今回は個人の努力や能力では乗り越えられないし、そこには問題の深さそして大きさがある。
 これからますます深刻化する経営状況の中で、我が事務所の顧問先の方は一人たりとも脱落者を出さずに乗り切れるようフォローしていくのが私に あるいは我が事務所に課せられた大きな宿題である。
 こういう時期になると必ず、「税理士さんは安定してますな」と言われる方もいらっしゃるが、顧問契約とはそんなに甘いものではないし、こんな時こそ頼りになる税理士とそうでない税理士の差が歴然とする時でもあるので、いつもの何倍も気が引き締まる。
 
 先が読めない生活は幾度か経験したが、良かろうと悪かろうと ここまで予定の立てられないことは今まであまりなかった。
 当事務所の顧問先の方でも お子さんの受験が終わったので、開業以来初めて数日間クリニックを休診して家族で旅行に行く計画を立てられていた先生やお嬢様の海外での結婚式を楽しみにされていた方がいらっしゃったが、これらもみんな取り止めになってしまっている。

 明日のことが分からない、まさにそんな日本、そして世界になってきている3月末である。

 コロナ騒ぎの中、個人的には少しだけ不謹慎覚悟で注目していることがある。 
   それは、この学校休校要請の中、島根県だけは独自の判断で学校を一日も休みにしなかったし、現時点で一人の感染者も出していない。
   実は私の事務所で私の前の席で仕事をしている事務所スタッフのお兄さんが島根県で公務員をされているらしいので、こんなことにもついつい関心を持ってしまう。
   さあどうなる島根県と。


 これ以上、話を続けると世間から悪乗りし過ぎと言われかねないので、明るく賑やかな世の中が一日も早く戻ってくることを祈って、 今日はここでパッと話をやめることにします。
では、おやすみなさい。

posted by ヒロイ at 23:40| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月22日

No672:“無利息融資”の恐怖

 まだ収まる気配のない新型コロナウイルスの感染拡大である。
 日本政府は“拡大”という言葉を使うことを躊躇しているようにも思えてくるが、まだ収まったと言える状況ではないのは日本国民の誰しもが思っているはずである。
 感染拡大とともに深刻な状況に陥っているのは日本経済(もちろん世界経済も)であり、景気の後退なんて生半可な言葉ではなく、景気だけみてみると危機的状況が近づいているとさえ感じることもある。
 今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響をもろに被っている企業の業績落ち込み幅は当初の予想を大きく上回る数字になっている。
 事業規模の大小を問うことなく、当事者である経営者の方に対して大変 失礼な話をするが、ここまでコテンパンにやられた後の対処方法は、
 @何とか自前の資金力でこの難題を乗り切る
 A緊急的に借りれるお金は借りて、当面の資金繰り悪化を乗り切る
 B傷口が大きくなる前に自ら廃業する  
 Cやむなく倒産
 が考えられるとあるとある雑誌には書かれていた。
 B、Cは避けられるものなら避けたいが、悲しいかな こういった最悪のシナリオしか残されていない経営者もこの騒ぎの後いくつも出てくるであろう。
 ただ、何とか事業は続けられたとしても Aの融資を受けた企業は、今度 長年にわたって元本返済に苦しみ続けないといけないという状況に陥ることも想定される。
 私も住宅ローンをはじめとし、事業用資金の借入もお世話になったことがあるが、借りるときは、「少しでも低い金利で」とまずは金利に目をやるが、いざ借りて返す段になると、金利のことだけでなく、延々と続く元本返済に参ってしまう。つまり企業の体力の消耗の根源になることだってある。
 そういう意味で、今回 事業を継続するために無利息融資制度を利用し、融資が受けられたとしも、“無”はあくまで利子であって、元本の免除があるわけではない。
 このことをしっかりと肝に銘じておかないと、お金を借りた後、とんでもない結末になることだってあり得る。
 
 私が税理士事務所を立ち上げた翌年の2008年に日本経済はアメリカで起きたリーマンショックの余波を受けた中で、当時の亀井静香金融担当大臣の鶴の一声で、「金融円滑化法」が成立し、お金が借りやすくなったことがあった。
 私の顧問先のある個人事業の経営者は、一定の書類を提出するだけですぐにお金が借りられたと、上機嫌で事務所まで報告に来られたが、実はこの方はその時点ではお金を借るなければいけないほど、経営状態は悪くなかったので、その資金で〇百万円もする高級車を購入された。
 その後、このリーマンショックの影響ではなく、ご自身の健康状態の悪化により、大幅な事業の縮小を余儀なくなされ、廃業寸前まで追い込まれた。
 少し健康状態も持ち直された後、私の事務所を訪ねてこられたときには、「必要のないお金なんて借りるもんと違うわ。この借入、利息は低いけど元本返済はまだ続いてるんです。今はこの返済のためだけに働いているようなもんです」とおっしゃった。
 必要でないお金を借りるということほど怖いものはない という事例のような話である。

 話を元に戻すが、このコロナ対策の企業向け緊急融資の案内が私の所にも送られてきているが、“無利息”という言葉に踊らされることなく、必要かどうかの見極めをして顧問先の融資の相談に対応をしていきたいと思っている。
 ただ、資金不足で目の前に立ちはだかる壁を乗り越えられないときには、後々のことをよく検討したうえで、希望の融資が受けられるように導いていかなければならないのは当然のことである。

 今回の騒ぎは、経営者にとって指針ともいうべく「備えあれば憂いなし」ということが通用せず、「何やってもムダ」というか、今までの常識が通じない事態になってきているが、春の訪れとともに何とか一日も早く収束に向かうことを願うばかりである。
 スポーツ、芸術の世界は現時点では観光・飲食業界ほど、その悪化状況が大きくはとり上げられてはいないが、この2つの分野も現在 収益が0(ゼロ)の状態が続いており、今後、事業継続不可 という企業や団体が出てきてもおかしくない。

 この何とも言えない世の中の無気力感はいつまで続くのだろうか。

posted by ヒロイ at 18:33| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月15日

No671:いつもと違う重い春

 毎年の恒例行事とはいえ、税理士業界では一年間で最大の山場ともいえる所得税確定申告業務が一昨日[3/13(金)]に申告書控を一斉に各納税者宅へ発送する作業をもってほぼ完了した。
 “ほぼ”というのは とある事情でどうしても必要な資料が納税者の手元に届かなかった数件は、新型コロナウイルスの影響を受けて申告期限が4月16日まで延長されたことを利用させてもらうことになったが、あと2、3日のうちには片がつくようである。
 法人の決算期は12ヶ月に散らばっているが、個人事業者は全て12月決算でこの確定申告が締めの決算申告作業となるが、この申告時期には一年間の業績を把握する意味においても非常に大事な業務でもある。
 各事業者の成長や努力の跡が読みとれる内容のものもあれば、なかなか思うように業績が上がらず苦悩の一年に終わったという事業者もないわけではない。
 ただ、最近は自分自身の経営努力だけではどうにもならないような外的要因が多すぎるように思う。
 毎年のように大きな被害のでる自然災害はもとより、今回のコロナ騒ぎだけは全く予期もしなかったことである。
今までは貿易摩擦や隣国との長年にわたる問題、それに世界各地で紛争というものが絶え間なく起こったりもしていたが、今回は自然災害や戦争やそれに政治的な争いでもなく、また今までよく取り上げられた貧困や貧富の差によって起こったものでもなく、突然襲ってきたというのがこの新型コロナウイルスという憎らしいものである。しかも、地球上の限られた地域だけではなく、ほぼ全世界、地球規模的な広い範囲でウイルスがまき散らされている。
 我が事務所は16日からほぼ通常業務に戻るが、ここまで2ヶ月近く 多くの時間を確定申告業務に費やしていたので、保留状態である仕事をいくつか抱えているというのが今の段階での自分の置かれている状況である。

 今日は多少寒さも残っていたが、比較的穏やかな天候でもあったので午前中はぽぽたん(ワンちゃん)を車に乗せて、御所までいって一時間半ほど散歩を楽しんできた。
 ここ数週間、この散歩もお預けだったので久しぶりに気持ちがリフレッシュできた。
 学校が休校中であり、子供たちが屋内にこもりがちなことも影響してか、今日の御所の中の公園はいつもの休日よりも多くの家族連れの姿があった。
 本来であればこの卒業式シーズンの後には入学式があり、事務所が大学の近くにあるので否応なしにも人込みでごった返す という影響を受け、春の訪れを感じるのが慣例となっているが、今年はどんな形で4月を迎えるのかいまだに予測さえもつかない。
 高校野球ファンの私にとって春の甲子園(選抜)がなくなったことはがっかりというか 正直 力が抜けてしまったが、今回ばかりはやむを得ない措置であろう。

 昨日、電話で話をした人は毎回このコーナーを読んでいただいているようで、『先週 休みやったね。』ということも告げられた。
 週一発信、年中無休というのを基本としているが、一年のうち1、2回 どうしても時間がないという時はお休みをいただいているが、よく気付かれたなと意表を突かれた感じである。

 あれほど道路(歩道)をふさいでいた外国人や学生の姿が今ではほとんど見受けられないが、せめて4月からは学生の賑わいだけで戻ってほしいと願うばかりである。
 人間って、いやなことがあると誰かにあたったり、外に出さなくとも自分の心の中で不満や文句をつぶやいていたがそれさえもできないのが今回の件である。
 どこにも発散できない、こんないたたまれない気持ちになったのはもしかすると初めてかもしれない。
 う〜ん、何かしら重いものがある。
 事務所の年末調整・確定申告の慰労会も延期にせざるを得なくなったし・・・。
 季節だけでなく、心の中にも “春よ来い” そう願うばかりである。
posted by ヒロイ at 17:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月02日

No670:まさに経験したことのない世界、そしてその後の怖い予感

 何回か前のこのコーナーで【予期せぬこと】というタイトルでこのコロナウイルスのことも絡めていろいろな出来事について述べていたが、その時に想像していた以上のことが今起こっている。一つのウイルスが世の中をこれほどまで変えてしまうとは2ヶ月前までは誰しも想像もしていなかったであろう。
 過去においてもペストや赤痢が流行し、世の中が大混乱したというのは歴史の授業で習ったという記憶がかすかに残っているが、今のような近代社会において今回のような一つの病気でここまでいろいろな分野に影響が出ようとは驚き以外何もない。
 歴史上、流行した怖い伝染病では何千人、何万人もの人がなくなった病気もあったとは思うし、それと比較すると死者は少ないなんて不純な見方ができないわけではないが、この医学の進歩した時代に収まりのつかない広がりを見せるとは、まさに現生をもてあそんでいるとしか言いようのないウイルスである。
 “コロナ”については、マスコミが連日のとり上げているので ここで詳しく説明はしないが、その影響の大きさとその影響を及ぼす期間の長さはまさに経験をしたことのないことである。
 我々の業界はご存じのように何が起ころうとも 今 確定申告の真っ盛りであるが、何と申告期限が3月16日から4月16日まで延長されたことにはついては、この業界で働く者にとってはこんなことってあるのかという驚きがあると同時に、片方では「これも一つの措置か」と意外と冷静に受け止めている。

 今回のこの“事件”にはまず、自分の体は自分で守るしかないということであろうが、こんな時でも論戦と称して国会議員は国会内でも、その外でもああだこうだとやっているが こんな時こそ党派を超えて目の前にある難敵に立ち向かうことができないのかと、またまたあきれるばかりである。
 そりゃトップの理解力、指導力、そして包容力のないことは十分承知しているが、対立という図式はいったん横において、一枚岩になって困難を解決していかないといけない 正に今はそんな時であるように思うのだが。

 いや、またあこんな精神論的な話になってしまった。
   事務所や家族(特に子供)からよく言われるんです 「これからの時代、そんな精神論だけでは誰もついていかへんで」と。
 こんなことでも自己反省が必要な、そんな50代後半の夜な夜なの独り言として聞き流しておいてください。

 最後に、これが収まった後の日本経済はどん底へまっしぐら なんて怖いことを考えているのは私だけではないはず・・・。
   春が怖い、夏が怖い、一年後、日本はどんな姿になっているのやら・・・。

posted by ヒロイ at 00:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする