2019年06月23日

No634:従業員を平等に扱うことの難しさ

 大企業ならともかく、中小企業 あるいは数名の事業所の場合、従業員の要望に応えるというのは、従業全員の要望というよりと特定の人の希望をかなえるための措置という場合が往々にしてある。
 我が事務所の顧問先も総従業員数10人未満である事業所が多いが、経営者からの話を聞いていると各従業員からの個別の要望は多岐にわたるものがある。
 例えば、特定の人だけ出勤時間を遅らせてもらえないかとか、逆に週2回は早く帰れないかとかという勤務時間に関するものや 小規模の個人事業所の場合、一定の基準以下であれば、事業所として厚生年金の加入義務はないが、従業員の一人から将来のために何とか入ってもらえないかと嘆願されたり、早く帰らないといけないのでどうしても自家用車で通勤させてほしいとか、個別に挙げればきりがないほどいろいろな要望が出てくる。
 こんな時、優しい経営者は、辞められても困るし何とか継続してもらうためには、今回の特例措置はやむを得ないかと、特定の人のための特別な救済措置をとられることもある。
 決してこの特例措置をダメだというつもりはないが、ある経営者はいろいろな要望を聞き入れるあまり、特例措置だらけで何が原則か分からなくなってきているようなところもあるし、ある人の救済のつもりでとられた措置が、別の人にとっては非常に不平等に感じることだってある。
   こういった時にしっかりと経営者の考え方をまとめておかないと、あとで収拾がつかなくなり、それで人事面の混乱を招き、経営的にも命取りになってしまうことだってある。
 そういう意味で、経営者は「あなただけですよ今回の措置は」というような例はできるだけ作らないことが、後々、事業所全体としてのよい雇用関係が築けることにもつながってくるようにも思う。
 もし、やむを得ず特例をつくる場合でも、その人と個別、あるいは内緒のようなものにせずにできれば公表できるようなものにしておき、場合によってはその特例措置は同じような境遇の人が出てくれば 次の人にも使えるようなものにしておく必要がある。
 「あなただけですよ今回の措置は」というのは、詳細な事情を知らない他の人からは、「なぜあの人だけ許されるの」ということになってしまい、最終的には他のスタッフの勤労意欲をそぐことにもなりかねない。

 顧問先の経営者との会話の中で、「よくやってくれる〇〇さんには特別に手厚くしていたのに裏切られてしまった」と口にされる経営者を今まで何人も見てきた。
 従業員を思う熱い想いや優しい気持ちは経営者にとってなくてはならないものだとは思うし、自分自身も今までいろんなケースに遭遇してきたが、自分の事務所での出来事の方が、ある物事や特定の人からの要望があったとしてもそれほどのめり込まずに、逆に一歩引いて物事を見つめるようにしている部分がある。これは顧問先の方々がいろいろな面で苦労されてきた事例を数多く見てきた副産物ともいえるかもしれない。
 私自身、やむにやまれず特例措置を決める必要が出てきた場合に、家庭の事情等による期間限定の事項でなければ、いつまでも つまり5年後、10年後であってもその特例措置が続けられるかどうか自問するようにしている。たとえ自分の気持ちや感情に変化があったとしても。
 こういったことを頭の片隅においていろいろことを判断していくと、偏った考え方に陥らず、意外とスムーズのことが進んでいくことがある。
 ただ、私のことを「あなただけよ」ということをなかなか受け入れない経営者として見られ、思いやりに欠ける経営者と思われるかもしれないが、こういった気持ちを持って対処しないと自分自身の身が持たないというのが現実である。
 いろいろな取り決めをするとき、「一時の感情に流されず」、「臨時的な措置でなく長く続けられることかどうか」、「同じ境遇の他の人の場合でも適用できるか」 、こんな気持ちを持ちながら物事を決定することが、ある意味 労使間の一定の関係を長く持たせる秘訣かもしれない。

 一歩引いて物事を考える、ちょっと冷めた目で・・、こんなことこそ中小企業の経営者には重要なことのように思う。
 実はこんなことを言っている私にも一番難しいことなんだけどね。
posted by ヒロイ at 19:39| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする